呪い ページ44
Aside
『三途くん前にさ、佐野がそんなに大事かって聞いてきたことあったよね？でもそれってさ、よく考えたら三途くんも当てはまってるよね』
「…」
『佐野のためなら罪を犯せる、人を殺せる、何だって出来る。まるで“佐野万次郎”という呪いに掛けられているみたい』
＿＿＿＿＿私たちは似た者同士だね、三途くん。
「テメェと同じにすんな。俺はお前ほど落ちぶれてねぇよ」
『私が佐野に呪いを掛けられているのは認めるんだ』
「…そんなの、昔からだろ。お前らは普通に見えて普通じゃなかった。お互いがお互いを鎖で繋いでいるみてぇで胸糞気持ち悪かった」
『そんなこと思ってたんだ。…でも、確かにそうかもしれない』
きっと私たちは、お互いがお互いに呪いを掛けていた。
佐野万次郎は五月雨Aという存在に。
五月雨Aは佐野万次郎という存在に。
“共依存”とも言っていい呪いが、私たちを繋いでいる。その呪いは、生きている限り永遠に続くだろう。
でも、それももう今日で終わる。
『ねぇ三途くん。私を殺すつもりで来たんでしょ？
貴方がこの呪い、解いてくれない？』
ニッコリと微笑む私を三途くんは何も言わずにジッと見て、銃の引き金を引いた。…長かった人生もようやく終わる。まぁ、二十代半ばは別に長くもないか。普通の人からみたら未来ある若者の扱いなのだろう。
「最後に言い残すことは？」
『そうだなぁ。考えてなかった』
「ちょっと待ってね」と私は頭を悩ませる。三途くんは舌打ちをしながらもちゃんと待ってくれるから本当は律儀な人だと思う。
最後の言葉、か。本当に何も考えてなかった。そんなものを言ったところで、それが叶うわけでもない。かと言って、“良い人生だった”と言えるわけでもない。
私は、ずっと佐野の隣に居れればそれで良かった。
佐野と、たくさん笑いたかった。
佐野と、色んな所に行きたかった。
佐野と、大きな家に住みたかった。
佐野と、家族になりたかった。
佐野と、佐野と、
『…………………幸せになりたかった』
その言葉を言い終わるのと、銃声音が響いた。私の体は勢い良く後ろに倒れていく。頭がふわふわして、どこか底に沈んでいくような、そんな感覚が私を襲った。人生で一度しか経験出来ない“死”だ。頭から流れる血液の音が地面を辿って聞こえてくる。だんだんと意識が遠のいていく中、私の頭にはやっぱり彼しかいなかった。
(これで、また会えるね)
「呪いのような口付けを」fin
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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