答え合わせ ページ28
Aside
『はい、そこ座って』
「…」
『座って』
「…ん」
浴室から出ると、先程と何一つ変わらない風景がそこにあった。ミーちゃんを撫でる佐野と、気持ちよさそうにゴロゴロ寝転ぶミーちゃん。髪を軽く乾かした後、私は佐野をテーブルに呼び出し向かいの椅子に座らせた。
何だか今日の佐野はどこか弱々しく見える。
気のせいだろうか。
私は佐野の様子を窺いながらも彼に質問をする。
『まず一つ。高架下の事件について。私があの場から離れた後、佐野が殺したの?』
「…うん」
『何で?』
「お前に害を与えたから。お前に触れたから。変な目でお前を舐めるように見たアイツは死んで当然だろ?だから殺した」
『…』
弱々しいと思えば、今度はどこか強気な態度を見せる佐野。
そんな中で私は、“自分のせいだ”と自分を責めていた。確かにあのヤクザは気持ち悪いし酷い目にあったし死んで欲しいと思ったけれど、本当にそうなるなんて思わなかった。それでも起こってしまったことは仕方ないし、佐野が彼を殺した動機は“私”だ。私が殺したのと変わりない。…大学生の子と同じように。
『次。コンビニの事件について。あれは佐野が三途くんに指示したの?』
「…その名を口にするな」
『え?』
「俺以外の奴を呼ぶな」
『…ごめん』
この事件に関しては、三途くんの単独行動で間違いない。しかしそれを確実にするためにも佐野に質問した。私は、「はい」の二文字が返ってくると思っていたが、質問の応答とは全く関係ない言葉が返ってきた。…おかしい。今日の佐野はやっぱりおかしい。情緒が不安定すぎる気がする。そんなことを思いながらも、私は真実へと近づく。
『それで、結局佐野の指示なの?』
「違う。アイツが勝手にやった」
『…そう』
やっぱりあれは三途くんの単独行動。じゃあ、やっぱり私のせい?私が、あの時あの返事をしたから?だからあの子は殺された?
その答えを、佐野なら知っているのではないか。
そう思った私は、なるべく佐野の逆鱗に触れないように言葉を選んで質問することにした。本当は会社が燃やされた理由も聞きたかったが、正直あんなブラック企業もうどうでもいいし無くなって正解だったと思う。だから今はこっちに集中しよう。
『…ねぇ、佐野』
「何?」
『三途くんは、私の事嫌いだったりするの?』
すると、佐野はその場で立ち上がりガッと私の胸ぐらを掴んできた。その勢いのせいか、私もガタッと椅子の倒れる音が聞こえながら立ち上がった。
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エリザベス女王 - う、、、目から滝が、、、!武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ、、、✨三途君の恋が、、、あの裏には恋心があったなんて、、、⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました! (2022年7月29日 19時) (レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…!!こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(;;)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました!素敵な作品をありがとう! (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ!勿体ないお言葉…!!ありがとうございます!!! (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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