それは双子か兄弟か ページ25
Aside
私が初めてバイクを乗ったのは、佐野のバイクだった。何度佐野の後ろに乗って、何度彼と同じ風を感じただろう。私がバイクの免許を取った時、その時は佐野の後ろではなく隣を走るのだろうと、そう思っていた。しかし、私が免許を取った時には、もう隣に佐野はいなかった。佐野の隣を一緒に走るという私の夢は、儚く消えた。そのくせ、未練がましく佐野と同じ機体を買う私は、相当彼に執着してしまっているのだろう。
過去を思い出しながらバイクを一日中走らせた私は夜、とある海岸にいた。ヘルメットを外し、頭を軽く左右に振る。ここから少し先に見える東京は、あの頃よりもビルが多く立ち並び、たくさんの光が交わり、まるで宝石を見ているかのように綺麗で美しかった。しかしそれと同時に、過去から抜け出せない私が、ここに一人取り残されているようにも感じた。
『…帰ろ』
ここに居ると自分がどうしても惨めに見える。
この場所に来てまだ数分も経っていないが、私はシートに置いたヘルメットを再び被ろうと手を掛けた時だった。後方から車のエンジン音が聞こえてきた。その音は段々とこちらに近づいてくる。そして、その音は私の直ぐ近くで止まった。私はゆっくりと振り返ると、短髪の男と長髪の男がそこに立っていた。
「お前が五月雨？」
『…先に貴方たちから名乗るのが礼儀でしょ？』
「ハッ、言われてんぞ兄貴」
「笑うな竜胆。…俺は灰谷蘭」
『で、私に何か用？灰谷』
「蘭でいい。コイツも灰谷だから」
「俺は竜胆、よろしくな」
“コイツも灰谷”、ってことはきっと彼らは兄弟か双子なのだろう。そして“兄貴”と竜胆が言っていたことから、兄は蘭の方で間違いないだろう。でも、何故彼らは私の名前を知っていたのだろう。初対面の人に名前を知られているのはかなり恐怖である。しかし、そんな謎は彼らの首元を見て直ぐに解けることとなる。
『…首元のシンボル、とても素敵ね』
「別に殺そうって来たわけじゃねぇよ」
「そうそう、マイキーの女がどんなもんか見に来ただけ」
『私、別に佐野の女でも何でもないのだけれど』
「けど三途が言ってんだぜ？お前はマイキーをダメにするってな」
私が佐野をダメにする？一体何の事だかさっぱり分からない。今のところ私の方が佐野にダメにされているというのに。会社燃やされたし。そもそも、つい先日まで普通の社畜だった私がどうしてこんなに犯罪者とばかり接近しなければいけないのだ。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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