久しぶりに会うその男は ページ3
Aside
不良共に連れられてきたのは、人通りが一切無い路地裏だった。確かにここならいくら声を出したって聞こえやしないだろう。この場所にスイスイと迷いもなく連れてきたってことは、コイツらは他にも同じような手を使って色んな人間を脅してきたのだろう。
『…で、何してくれるの』
「もう分かってんだろ」
『まぁね』
私は鞄を床に置き、着ていた黒いジャケットを脱ぎ始める。前の輩二人はニヤニヤとした面でこちらを見つめる。気持ち悪い視線。こんな奴らなんてさっさと死んでしまえばいいのに。
私は次にスカートに手をかけるが、フックを外しファスナーを下ろす寸前で動きを止める。その動きを不審に思った頭と呼ばれる奴の隣にいた男がこちらに近づく。私は男が近づいてきた瞬間に、ソイツの急所を思い切り蹴りあげた。男は地面に倒れ込み、頭と呼ばれる奴は今起きた出来事をまだ理解出来ていないようだった。その隙を見て、私は鞄とジャケットを拾い逃げ出す。
できるだけ遠くに、人通りの多い場所に。
そんな思いで高いヒールを履きながら逃げる。しばらくすると、頭と呼ばれる奴が「待ちやがれ！！」と大きな声を発しながら追いかけて来た。やはりヒールだと逃げるのに負担が大きい。そう思った私はヒールを蹴り飛ばし、今度は裸足で逃げ始める。しかし、やはり足の速さでは勝てないようで、とある高架下まで走った所で肩をガシッと掴まれ、その場に倒れ込む。両手を掴まれ完全に逃げ場を失った。
「面白い事してくれるじゃねぇか」
『…』
「覚悟は出来てんだろうな」
男の手が私のシャツのボタンを外し始める。これはもう完全に詰んだ、と諦めた時だった。バンッという音と共に、男の口から真っ赤な血が流れて、私のシャツにポタポタと垂れる。口元の少し上を見てみると、男の額のド真ん中に綺麗な穴が開いていた。男は白目を向けると、そのまま横に倒れ込んだ。私はまだ状況を理解出来ていない。ただ分かるのは、この男が死んでいるという事だけだ。
「大丈夫？危なかったね」
『…っ』
この男を殺したであろう男の声が聞こえた。聞き覚えのある、当時は愛おしくて仕方なかったその声が。私は上半身を起こし、サンダルを引きづるようにジャリジャリと鳴らしてこちらにやって来る白髪の男を見る。
『…佐野っ！』
「久しぶり、A」
久しぶりに会ったその男は、どこか空っぽのように見えた。彼は私に近づくと体を挟むように足を置いてしゃがみ、頬に手を添え、吸い付くようにキスをした。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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