さくらんぼ【食戟のソーマ】

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5日目。


午前中は今までと同じように様々な課題が出題され、バタバタしながらも順調にこなしていく。

全員がヘトヘトに疲れているところで、急にロビー集められた。

柱の元で座り込んでしまっている人なんかもいて、この状況で何かヘビーな課題が出されたらここら一帯は阿鼻叫喚となることだろう。


そしてついに堂島さんが現れ、生徒一同が息を呑む中、話が始まる。


「気付いた時には頂に行き止まり、帰り道すら失う者もあるかもしれん」

「忘れないでいてほしい、同じ荒野に足跡を刻む仲間と共に在ったことを」

「君らの武運を、心より祈っている！」




堂島さん、話し方うまいなぁ。思い切り騙された。

今、私たちの目の前には卒業生たちによるフルコースが。

中には泣いている人もいて、今日までの疲れが取れるほどの美味しさだった。




自分もそんな美味しすぎる料理に舌鼓を打ちながらも、さっきの堂島さんの話を考えていた。


私にはまだわからないけど、ある才能に特出しすぎていた人のある末路は知っている。

私は、そんな才能を潰してしまうのが1番怖い。

だから私はあの時、確かに助けを求めて縋ってきた 幼いえりなの手を離すことが出来なかった。


幼いながらに自分の才能のことも理解していたけど、目の前の才能を潰してしまうようでは、これからいろんな人の才能を伸ばす立場(プロデューサー)になりたい者としてダメになると思った。

だけど、いつまでもこのままではいけないっていうのも、わかっている。



『どうしたものかなぁ、』



「あら、A。何か嫌いなものでもあった？」

『いや、全く。美味しすぎて実力差に唸ってたとこ。』

「…そうね、これほどの料理だとAの力ではまだ勝てないわね。」

『やっぱり？でもえりなの料理は負けず劣らずなんだからすごいよね。』


思ったことをそのまま言うと照れたのように顔を背けられる。

だけど、その顔には確かに柔らかい笑みが浮かべられていて、今はもうそれだけで十分かなって思ってしまう。

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