バレーの“鬼”と呼ばれる少年２【HQ】【男主】 (ページ13)

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第30話　身内(4) ページ13

トットット

「悠兄～、頼まれたジュース、そろそろ冷えてきたから持って来たよ～、って、正人くんどしたの？」

正人が赤面し、言い訳めいた謎の言葉を発するとしばらくしないうちに羞恥心に耐えられなくなったのか、その場に蹲み込んでしまい、それをたくさんのグラスと数種類のジュースの2Lペットボトルを持った、今度は170cmほどの少年がやってきた

皐「お、漸く来たか、こいつがこの家の住人最後の1人、北一2年WSの中津鬼時雨(なかづきしぐれ)、ヒョロっちいけど、腕は確かっすよ」

中「はじめまして、雨くんって呼んでくださ～い…って、あれ、そこの小さい人ってもしかして、影山さんのサーブ2回も顔面レシーブしたよく飛ぶ1番さん？！」

日「へっ？」

中津鬼は、日向を凝視しながらそう言う

田「おうおう、なんだてめぇ、うちの優秀な囮になんか文句あんのかぁ？！」

澤「田中、中学生に絡むのは流石にまずいぞ？！」

中「まっさかw文句なんてありませんよ～、ただこんなとこでまた会えるなんて～って思っただけですよ♡」

日「え？どっかで会ったっけ？」

中「去年の試合、僕ベンチ入りしてたんですよ～、残念ながら、初戦は交代なかったのであなたは知らないでしょうけどw」

天「へ～、中1でベンチ入りってすごいネ～」

柚「え？俺やまーくんも、兄さんに弥生くんも、静くんも、6人とも1年でベンチ入りしてましたよ、兄さんと弥生くんに至っては、1年で中総体に出てましたし…」

全「え？！」

瀬「マジか…」

澤「皐月川も鬼金も、すごい奴だとは思ってたけど…」

西「悠鬼！お前すっごい奴なんだな！」

柚鬼の何気ない一言で、皆は今この部屋にいない静夜以外の5人に目を向ける

各々がボソボソと思ったことを呟いたり、思っていたりしていると、西谷が悠鬼の背中に飛びつく

白(さすが悠鬼さん！あれほどの腕前でベンチ入りしないなんてまずありえないよな！)

川(けんじろうくん、目がいつも以上に輝いてるな…)

五(さ、さすが悠鬼さん！俺も早く悠鬼さんみたいに成りてぇ！)

中津鬼は、小さな爆弾を投下すると同時に皆の目の前の机にグラスを置き、菓子同様ジュース入りのペットボトルも机に置くと、未だ蹲み込んでいる正人の襟を引っ張りながら、部屋を出て行った

皐「さ、塩分と糖分も揃ったんですから、勉強の続きをしますよ～」

悠鬼の声を合図に、皆は少々もやもやしながら勉強を再開したのであった