深愛モラトリアム【2】 (ページ21)

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紫「今度こそ実現しようか」

　『実現？』

紫「そう、ここで一緒に暮らそうよ」

　『……え？…そんなことして大丈夫？』

あの時は紫耀が
こんなにも有名人になるなんて
想像もしていなかったから
当たり前に一緒に暮らしたいと思った

だけど、今は私もこの世界に
足を踏み入れてしまったし
一緒に暮らして良いものかと
判断が出来なかったんだ

紫「………」

　『…紫耀？』

紫「分からない」

　『…分からない？』

紫「大丈夫かどうかは正直、分からない
　でも俺はもうAと
　離れるつもりなんて無いし
　早いとか遅いとか関係無く
　一緒に暮らしたいと思ってる」

忙しくて会えないだけで
寂しくて会いたくて堪らなかった

私だって、紫耀とずっと一緒に居たいんだよ

　『……私も離れたくない』

紫「じゃあ、決まり」

腕に乗せていた私の頭を抱えると
紫耀は嬉しそうに抱きしめてくれた

二人で交わした約束
卒業してからは３年も過ぎてしまったけれど
ようやく実現することが出来るんだ

紫「…A…本当にありがとう」

　『……え？』

紫「会いに来てくれてありがとう
　 Aが東京に来ていなかったら
　この幸せは無かったんだよね」
　

…来ていなかったら

そんなことを考えたことも無かったな

紫耀に会いたい…
私にはその気持ちしか無かったのだから

紫「御礼に世界で一番幸せにするから」

　『もう十分過ぎるくらい幸せだよ』

紫「まだだよ」

　『…まだ？』

紫「そう、まだ俺は愛し足りないよ」

おでこに落ちて来た紫耀のキス

あの頃より更に深くなった紫耀の愛に
私は何度でも堕ちてしまいたい

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【約束】おわり