深愛モラトリアム【2】 (ページ3)

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応接室に居たのは
頭の中で思い描いていたよりも
若くて身なりの整った女性

…この人が…私のお母さん？

女性は立ち上がり先に挨拶をしてくれた

柏「時間を作って下さって、ありがとう
　私は柏木と申します
　あなたが…YURIさんね」

　『YURIは芸名で本名はAです』

柏「……Aさん」

紫「King＆Princeの平野と申します
　同席させて頂いて良いですか？」

柏「娘がKing＆Princeのファンなんで
　平野さんのことは存じ上げています
　同席して下さって大丈夫ですよ」

…娘？……娘が居るの？

もしも、この人が私の母親なら
私を施設に置き去りにして
また別に子供を産んだということ？

聞きたいのに言葉にする恐怖
それに気付いてくれたのか
私の代わりに紫耀が言葉にしてくれた

紫「…娘さんがいらっしゃるんですか？」

柏「はい、高校生の娘がいます
　娘が岸さんの相手役に興味を持って
　雑誌を買ったのを見せてくれたんです
　そこであのネックレスを見ました」

紫「単刀直入に聞きます
　あなたはAの母親ですか？」

柏木さんはハッとして
口に手を添えて驚きの表情を見せる

柏「ごめんなさい、先にそのことを
　お話するべきでした」

　『………』

紫「教えて下さい、Aはずっと
　母親を探しているんです」

心臓の鼓動が音を立てて
体の中を走り抜ける

目の前のこの人が
ずっと会いたかった母親なのか
柏木さんの答えを待つ時間が
恐ろしいほどに長く感じた

柏「…残念ながら私は
　 Aさんの母親ではありません」

　『………え？』

柏「私はあなたの母親と親友でした
　中学で知り合い高校も大学も
　同じ学校へ進むほど仲が良かったの」

…違った

私を産んだ母親では無かった

やっと…会えたと思ったのに…

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