純白の天使 (ページ27)

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27話ページ27

Q.あのクソ親父から見た家族と言う概念はなんだ？

A.自分と同じ存在を作る為の都合の良い関係だ。

そうだった。
幼少期からそれは変わらない。
父の名をグルッペン・フューラーと言う。
誰よりも戦闘を好み、愛していた。
そんなクソッタレな親父。

親父の脳内は常に、兵器だった。
資金は敗戦国から巻き上げ、新兵器開発と言う名の宣誓布告。自身が殺される恐怖はない。
だって、圧倒する程の戦力で世界を見ていたのだから。

あのクソ親父は元から貴族だったのか知らんが、周りには女が沢山いた。そして次々と生まれる赤子。
一夫多妻制(いっぷたさいせい)の場所(家庭)だった。

クソ親父が求めるのはただただ自分と瓜二つの赤子。外見が似ていればそれで良い。
瓜二つと称された子供達は、あのクソ親父の思考、言動、仕草、癖など全て同じにされた。もしも身に付かなかった場合、その場で命は無い。

瓜二つと称され無かった子供はと言うと…召使行きだ。女もまたそうだった。
瓜二つを産んだ女はまた、万が一の為と孕まされる。そして血み泥の末、俺がいる。

『次代のグルッペン・フューラーはお前だ。』

嫌な言葉だった。今思えばな。
昔はそれが当たり前だった。
今の仲間を集めるまでは。

武力でものを言う。
力こそが全て、と言う思考の人物だった。
どうしてそこまでさせたかは知らない。

貴族を憎むトントン

他人を信用しないオスマン

墓地の捨て子のシャオロン

元貴族の鬱

レッテル家族のコネシマ

戦場孤児のゾム

爆弾処理のエーミール

ハッカー一家のロボロ

スラム街出身のショッピ

詐欺師の拾い子チーノ

人攫い被害のひとらんらん

元野生児の兄さん

神と称えられた元孤児のしんぺい神

皆、まともな暮らしを送ってはいない。
腐った世の中で俺達はずっと生きていた。
そんな時だった。
レイと出会ったのは。

最初はゾムの面倒な悲哀心によって拾われた子供(餓鬼)。白く透き通るその肌と髪はまるで別次元だ。教会の絵画でも飾られていても可笑しくはない程の美しさは、改めて天使や神と認識させた。

そんな子供が、そんな餓鬼が。
四肢ご満足無い身体を見て、俺は初めて可哀想だと思った。仲間の誰も壊死で欠損していないというのもそうだが。やはり、幼児がそのような身体だと衝撃はある。

煩くて、鬱陶しいあの子供がだ。
だから俺はレイを養子として引き取った。
後悔はない。むしろ達成感だ。
命を掛けて守る存在を俺は初めて知った。