純白の天使 (ページ20)

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20話ページ20

「これはこれは、フューラー総統閣下ですか。私(わたくし)、ウィリック・ハグマンと申します。長いのでウィリーと呼んで下さい。」

金髪金眼の白色の軍服を着た姿はまさに童話に出てくる王子そのもの。隣には色とりどりで控えめな色合いの花とリボン、大きなその白のハットは顔を丸々隠せそうだった。ドレスも白色でレースには小さな花が散りばめられている。まるでウェディングドレスのようだった。レースの花柄手袋と扇子を持っている。

「こちらは、妻のカトリーヌ。先月式を挙げたばかりでね。」

「のちに噂は聞いている。晴々しい知らせだ。」

そう言うグルッペンにレイは静かに座りガラステーブルを見ていた。

「そちらのお子さんは養子のお子さんでしょうか？」

「嗚呼、娘のレイだ。少しシャイでね。」

「ハハハ。それは可愛らしいお嬢さんですね。」

ウィリーと雑談を楽しむ最中、ウィリーは執事に何か伝えると執事はカトリーヌを連れ出した。

「折角なんですから、女性同士お話をされてはどうでしょう？部屋が一緒だと緊張してしまいますからね。」

「嗚呼…折角の機会だ。お言葉に甘えよう」

グルッペンはチラリとトントンを見ればトントンもレイを連れて部屋に出ていく。レイはこれから起きる事に想像がつかないせいか後ろを見る事はできなかった。

部屋は変わり少し日の通りが少ない場所に移動する。全体的に日陰なその部屋は白で基調とされた家具で明るい部屋にも見受けられた。
トントン達は外で立って待っている。

「帽子、とっても構いませんよ。」

そう玲瓏(れいろう)とした声で言う。レイは少し驚くがゆっくりと帽子を取った。そしてレイはカトリーヌの姿に目が入る。
純白のロングヘアーに赤い宝石の瞳はまさに自分と瓜二つ。アルビノの特徴にそっくりだった。

「やっぱり、そうでしたか。」

「…えっと…」

「嗚呼、申し遅れましたね。ウィリック・ハグマンの妻、カトリーヌ・ハグマンです。よろしくお願いしますね。」

「レイ・フューラーです。よろしくお願いします…」

「ふふ。そこまで緊張なされないで。小さな妖精さん。レイ、紅茶はお好き？」

「は、はい。好きです…！」

「そう。それは良かった。」

上品なティーポットに注がれる紅茶はとても香りが良く、コトッとレイの前に置かれた。

「お砂糖はおいくつ？」

「ふ、二つで…」

「そう。」

二つの角砂糖を溶かしながら二人は話し始めた。