羽ばたけるなら3 (ページ11)

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林間合宿（1）ページ11

「この林間合宿で更なる高みへプルスウルトラを目指してもらう！」
「「「「はい！」」」」

相澤先生の言葉に、A組の皆が張り切って返事をする。

「いよいよだねぇ」
「バス一緒座ろうよ〜」
「ごめん、お茶子…、私バス酔いするから相澤先生の横に座ることにしたんだ…」
「そうやったん！？」

「お茶子ちゃん、良かったら一緒に座らないかしら？」
お茶子と話していると、後ろから梅雨ちゃんが話しかけてくる。

「梅雨ちゃん！座ろう！」
梅雨ちゃんの言葉にお茶子は元気よく返し、クラスの半分以上がすでにバスに乗り込んでいたため、私達も急いで乗り込んだ。

バスの最前列に行くと、既に相澤先生は座っていた。
「酔い止めは飲んだのか？」

「はい、飲みました。飲んでも、酷い時と酷く無い時の差が激しいので…酷くならないことを願います」

「そうか」

横にいる相澤先生と目が合い、少しむず痒い気持ちになる。
バスが発進してからも、特に会話もなく私はソワソワとした気持ちで座っていた。

「おばあさんの体調はどうなんだ？」
「ひゃい、あ…今は安定した状態で…退院するほど回復はしてないんですが、大丈夫です」

急に話しかけられて、思わず噛んでしまった…恥ずかしい。

「それなら、良かったよ。新谷のことは昔から知ってるからな。気にはしていたんだが、こちらから色々言うのもアレだと思ってな」
相澤先生の言葉に、胸の奥がぎゅっと温かくなる。

「ありがとうございます…。あまり大人に頼るの慣れていなくて…。でも、近くに相澤先生のような素敵な大人が居てくれるだけで、安心できます」

私がそう言うと、相澤先生は私の頭をナデナデと撫でてきた。

「新谷はまだ子供なんだから、何かあったら大人を頼れよ」

「はい…」
前世は子供のまま亡くなって、大人になれないままこの世界に来たけど、前世の記憶があるせいで勝手に大人ぶっていた部分もあった。

親もいなくて、おばあちゃんもあんな感じだから、勝手に1人でなんとかしなきゃってずっと思ってた。
この世界にきて、色々悩むこともあったけど、今は皆に会えて、先生に会えて本当に良かったと思っている。

これから先、沢山の苦難が待っていると思うけど、精一杯皆のことを守れるように頑張ろう。
私が自ら選択して、この場所に立っているのだから。