検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:20,147 hit

分かる? ページ5

.



 Aは先程の経緯を説明した。助けられたのは自分、助けてくれたのは王子様。何度か説明するうちに、2人は理解してくれた様子ではあったが、

「…無理ない?」

「ないよっ!」

 2人は知らないのだ。昔話の人魚姫が、人間の王子様に恋をしたときの気持ちを。それなりに人魚の男の子に恋をしたことはあるかもしれないが、種族の違う人を好きになることが難しいということを、2人は知らないはずだ。

「…それで、一目惚れしたと言うのかしら」

「まあ姿を見た訳じゃないんだけど」

「じゃあ尚更なんで?」

 Aの気持ちが分からないと、2人は話し始めた。王子様について知っているのは声だけ。あとは手の感触と体温。後の2つはどの人間にも当てはまるだろうから、頼りにはならない。

「じゃあもしこれがヴィル・シェーンハイトだったらどうする?」

「そりゃあヴィル様の声なら好きになるよ」

「ヴィル様ならもっとスマートに助けてくださるでしょうけど」

 Aは2人が熱中している俳優であるヴィル・シェーンハイトの名前を出した。2人ともヴィルのマジカメはつかさずチャックしているなかなかのヘヴィーユーザーだ。
 Aの予想通り、2人はヴィルの声なら気持ちを分かってくれるようだ。これで見た目だじゃないと分かってくれたはずだ。

「ヴィル様に会えるのなら陸の学校に通ってもよかったよね…」

「ヴィル様はNRCだから男子校だけれどね」

「あ、そういえば一緒にいた人がNRCに帰ろうって言ってた気がする」

 王子様の声が印象的過ぎて、同行人の声までは思い出せないけれども、確かにそう言っていた気がする。これは大きな手がかりかもしれない。
 2人は「ヴィル様とおんなじ学校かー」と妄想を膨らまし始めて、こちらの事は一切気にしなくなったところで、この話は終わった。2人にヴィルの話をすればこうなる事は分かっていたが。

会いに行けば→←王子様



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
106人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さーも(プロフ) - 巫香渚さん» バースデーは比較的来てくれるような気もしますけど推しになるとこないですよね笑ギリギリまで頑張ってください!! (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e0f107a18 (このIDを非表示/違反報告)
巫香渚(プロフ) - おじたんが二十連で…!羨ましいです。私も二十連したのですが、来てくれませんでした.8月1日まで粘るつもりです。 (2021年7月29日 18時) (レス) id: 254cdf7334 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さーも | 作成日時:2021年7月2日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。