健闘を ページ23
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次の仕事のためにオクタヴィネル寮を去り、鏡舎の外へと出たところで、ヴィル・シェーンハイトは一息ついた。
「世話を焼きすぎたわね」
しかし今日は楽しかった。あのとき、廊下にいたデュースに声を掛けなければ、こんな不思議な体験はしなかっただろうと、ヴィルは考えた。
あの時、なぜ声を掛けたのか。Aの姿は、割と身長の高いデュースによって遮られていた。誰かと話しているというのは分かったが、まさか女性であるとも思わなかった。彼女に引き寄せられたのだろうか。それは今でもわからない。
「普通だったらあんな子ジャガに声なんて掛けないもの」
鏡舎を去り、仕事に持っていくスキンケア商品を買うために購買部へと歩きながら、ヴィルはつぶやいた。もう時間も時間で、日は完全に落ちている。今から仕事のために輝石の国へと行くのかと思うと、正直面倒ではあるが、それは仕方のないことと割り切っている。
「シェーンハイト」
「?」
ヴィルは後ろから声を掛けられたので振り返ると、そこに立っていたのは、
「クルーウェル先生。こんな時間に何処へ?」
「それは俺も聞きたいところだが。サイエンス部で栽培している植物を確認してきたところだ」
確かに、クルーウェルが来た方向は植物園や魔法薬学室があるので、彼のいうことは間違いなさそうだ。2人で歩きながら、ヴィルもクルーウェル質問に答える。
「アタシは人魚の手助けの帰り道よ」
「人魚…あのガールか?」
クルーウェルが出会ったという人魚の特徴を並べると、まさにAと一致した。まさか、クルーウェルが最初にAをNRCに入れたとは思っていなかった。
「探していた人には会えたのか?」
「今から会いに行くところでしょうね。なかなか拗らせた2人ですから」
「せいぜい無断外出か外泊かで指導を受けないことだな」
外出届を出さなければ、寮に残っている彼らは今から砂浜へと行くのに、罰を受けるではないか。すっかり忘れていた。
「明日でいいから外出した仔犬の名前を教えろ。今日は見逃してやる」
「あら、優しいのね」
「探すのは手伝わないが、ちょっとした手助けぐらいはできる。その代わり、結末を教えろよ」
ヴィルはその言葉を聞いて笑い、購買部の前に着いたので、そこでクルーウェルと別れた。
砂浜へ向かうAたちの健闘を祈りつつ、Aの友人たちへと送るサインと、ちょっとしたプレゼントの品を何にするか考えはじめた。
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さーも(プロフ) - 巫香渚さん» バースデーは比較的来てくれるような気もしますけど推しになるとこないですよね笑ギリギリまで頑張ってください!! (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e0f107a18 (このIDを非表示/違反報告)
巫香渚(プロフ) - おじたんが二十連で…!羨ましいです。私も二十連したのですが、来てくれませんでした.8月1日まで粘るつもりです。 (2021年7月29日 18時) (レス) id: 254cdf7334 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さーも | 作成日時:2021年7月2日 21時