番外編３ ページ43
番外編３
「俺は怖くねぇのか？」
「そう言われてみれば……焦凍に触られても怖くないかも。だって今まで散々触れ合ってきたし、他の人より距離が近いからだと思う」
その言葉に俺の胸がギュッと締め付けられる。
……ああ、なんか、嬉しい。
家族だからって意味なのかもしれねぇけど、それでも嬉しかった。他の奴より距離が近いと思われてる、俺は触れてもいいって言われてる。
少し特別扱いされてる様な気がして、些細な事かもしれねぇけど充分嬉しい。
「それに焦凍って私にキスした事あったよね」
「やめろ、その話は掘り返すな」
忘れるつもりはねぇけど、あの頃の俺は本当にカッコ悪くて情けなかったから掘り返されると気まずい。
今だってしていいなら、そういう事もしてみてぇと思う。今度は八つ当たりとか怖がらせてとかじゃなく、ちゃんと正しい情を持って触れたい。
もう少し距離が縮まったら…して、みてぇな。
だから今はまだ、
「隙があればまたキスするかもな」
「そうなん……え、え！？」
「ふっ、冗談だ」
こうして頭を撫でるくらいでいい。
からかいながら頭を撫でると、Aは少し頬を赤らめて俯いた。もうAは俺の気持ちを知ってしまったから、そういう事を言われると流石に恥ずかしいんだろう。
そうだ、そうやって知っていけばいい。俺に愛されてるって事を、そうやって知っていけ。
「そういえば姉さんから林檎持っていけって渡されたんだけど食うか？」
「う、うん…食べたい」
いつかAがまた人を信用出来るようになって、ちゃんと顔を上げて生活出来るようになった時。お前は俺じゃない誰かを好きになるかもしれない。
これから先、そういう運命の出会いなんかをしたりするかもしれない。緑谷みたいないい奴とかと。
それはすげぇ嫌だけど、それでも今はAにとって信頼できる人間が一人でも増えればいいと思ってる。
この間だって緑谷を呼んだらAは嬉しそうにしてた。本当に緑谷の事は信頼してるんだろう、目がちょっとキラキラしてた気がする。
だから正直、嫉妬した。
でも今は俺の我儘より、Aの喜ぶ事を優先したい。もうAの事で間違えたくねぇって思うから。
手を抜かず、ちゃんとAが喜ぶ事を。
もしもAの事を好きになる奴が現れてAが俺を選ばなかったとしても、俺は何ら変わる事はない。
他のやつより
Aを愛すればいいだけだ。
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
