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番外編1 ページ41

番外編



「じゃあ、また来るね」

「はい…ありがとうございます、緑谷くん」



そう言って薄ら微笑むAさんに手を振って僕は轟くんと病室を出た。というのも、轟くんに『よかったらAに会ってくれないか。あいつ、お前の事は信頼してるみてぇだから』と言われたのだ。

勿論、僕で役に立てる事なら何だってする。久しぶりみた彼女は、前よりも少しやつれている様に見えた。

きっとそれくらい辛かったんだろう。轟くんによれば少しずつ目に正気が戻ってきてるらしいから、あんまり心配する必要はないと思うけど。



「ありがとな、緑谷」

「ううん。僕にはこんな事しか出来ないからさ」



轟くんは僕を病院の前まで見送りしたらまたAさんの病室に戻るらしい。ほぼ毎日来てるそうで、本当に彼女が大切なんだな…と微笑ましく思えた。

わざわざ聞かないけど何となく察してしまう。きっと轟くんはAさんに気持ちを伝えたんだろう、と。



「轟くんの行動力って凄いよね」

「緑谷ほどじゃねぇけどな」



僕の言葉の意味が分かったのか、轟くんは横目で僕を見ながらそう言った。僕の行動力…体育祭の事を言ってるんだろう。「うっ…」と申し訳なくなる。



「……まあ、Aには生きていて欲しいからな。あいつの欲しいモノの中に俺が与えられるモノがあるなら、俺は全部与えてやりたい」

「轟くん…」

「そうすればAも、少しは生きることに希望を持ってくれるかもしれねぇ」



けど…叶うなら、と轟くんは続ける。



「俺がAにとって生きる理由の一つになれたら、これ以上の幸せはねぇんだけどな」



その言葉に僕は何故か泣きそうになった。

血の繋がった実の兄妹。まだAさんは轟くんの想いに応えられないだろうし、法律的にも報われることのない想い。

Aさんという存在は轟くんにとって生きる理由の一つなんだろう。普通に考えたら重いって言う人もいるかもしれないけど…それくらい、好きなんだ。


でも、本当に愛するってそういう事だと思う。僕にはまだ分からない感覚だけど理解は出来る。僕は家族や友達が大切だから、死ぬわけにはいかない。

その大切に思う気持ちが『家族』『友情』としての愛情か『恋愛』としての愛情かの違いだけだ。



「轟くん、頑張ってね!」

「…ああ」



轟くんは短く返事をして、やわらかく微笑んだ。



番外編2→←あとがき



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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…!主様の文もとても惹かれるもので素敵でした!完結おめでとうございます!次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…! (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NAOKI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/  
作成日時:2018年5月19日 23時

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