第５５話 ページ13
第５５話
「兄妹でしょ」
「っ…………」
Aの言葉に俺の中で何かがパキンッ…と割れるような音がした。そして、ポロリポロリと何かが崩れていく。
兄妹、そうか、俺達は兄妹だ。
Aは俺の事を男としては見てない、兄妹だから当然だ。Aにとって俺は男じゃないから、だからAは俺に笑わねぇのか。兄のままだからこのモヤモヤは解決しねぇのか。
なんだ、そうだったのか…。
だったから、俺は。
「A…」
「え……？」
俺は、お前の兄を辞める。
Aの腕を引き寄せ唇を重ねた。Aに俺を男として認識させれば、何か分かるんじゃないか。だったら俺は兄を辞めなければ。
男であると、認識させなければ。
驚いて暫く固まっていたAは、ハッとして俺を突き飛ばした。困惑した顔で口元を手で覆いながらAは睨むように俺を見る。
「なん、で……」
「……………」
「っ……私たち、兄妹だよ？」
「…そうだな」
困惑するAを前に、俺は酷く冷静だった。唇に残るAの感触を思い出すと、胸がスカッとしてあのモヤモヤは消えてる。そうか、こうすればよかったのか。
でも、なぜか少し…寒い。
「……A」
「っ、触らないで！」
手を伸ばすとAに叩かれる。その行為にまたイラッとしてモヤモヤした。パキッ…パキッ…とどんどん俺の右半分に霜がおりていく。
「A、こっちに来い」
「ッ……」
自分でも低く冷たい声が出たのが分かる。Aがより一層真っ青な顔をして固まった。完全に怯えて固まってる、なら俺から行ってやらねぇと。
スッと近付き手を伸ばしてAの頬に手を添えた。俺を見る瞳も、体も、小刻みに震えている。全身で俺を意識してる証拠だ。
笑ってはいねぇけど、このAでもいいかもな。俺を意識して恐怖で拒絶すらできない。そんなAを見てると少しだけ満たされる。
でもなぜか…少し寒い。まあ、そんな事はどうでもいいよな。きっと寒いのは俺の個性のせいだ。
「しょ、と……」
「俺が怖いよな…でも、お前なら分かってくれるだろ？」
「っ……分かん、ないよ、焦凍」
「……そうか、残念だな」
兄ではなく男として接すれば、Aは俺にも笑いかけるんじゃないか。そしてその笑顔を見られれば、俺はこのモヤモヤから解放される。
俺は、真実に一歩近づき
Aとの心の距離は遠ざかった。
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
