第２７話 ページ29
第２７話
学校が終わって少し職員室で担任と話した後、俺は家に帰った。自分の部屋に行きトレーニング用の服に着替えいつも通り中庭へ向かう。
すると、縁側で横になっているAがいた。何やってんだ…と疑問に思いながら近づくと、規則正しい寝息を立てて寝ている。
学校の制服のままだし鞄を枕替わりにしてるってことは、帰って自分の部屋に行く途中ここで寝たってところか。
もうすぐ日が沈む。いくら春になったからといってもこんな所で寝てたら風邪引くだろ。そう思い「おい…」と声をかけるが起きる気配がない。
「……A、起きろ」
そう言いながらAに手を伸ばすが、ピタッと手を止める。何となく、もう少しこのままでいたい気がしてしまったからだった。
恐る恐るAの横に座り、顔を見下ろしてジッと眺めてみる。やっぱりどことなくお母さんや姉さんに似てきてるな。
俺の左側と同じ赤い髪。前に吉野がAの髪を腐った林檎だと言った。腐った林檎、か。あながち間違ってはねぇのかもな。
クソ親父の血を受け継いでいるという証。お前も、そして俺も。こんな血は腐ってるとしか言えねぇ。
「………大丈夫だ、俺も半分持ってる」
腐った林檎は、お前だけじゃねぇから。
そっとAの頬に触れると、少しひんやりしている。やっぱりこんな所で寝てるから体が冷えてきてるな。早めに起こしてやらねぇと。
そう思っていたら、俺の手が暖かかったのかAがフッと薄ら微笑み俺の手に擦り寄った。
「っ…！」
いつぶりだろうか、こんなに間近でAの笑った顔を見たのは。Aが薄ら微笑みながら俺の掌に頬を擦り寄せるこの現状に、どんどん困惑していく。
なんでこんな落ち着かねぇんだ。
どうすればいいのか分からなくて、困惑しながらサッと手を引く。するとAは「……いただき、ます」と寝言を言った。
また変な夢見てるのかコイツ。でも笑ってるって事は、今回は楽しい夢なんだろうか。
この笑顔は俺に向けられたものじゃない。けど、今この笑顔を見てるのは俺だけだ。そう思うと胸がザワついた……その時。
「…………ん」
Aがゆっくりと目を開け俺は驚いて目を見開き固まった。案の定、Aは「……え？」と俺がいることに驚いている。
数秒、お互い目をそらす事が出来ず固まるが先に俺が「悪ぃ…」と離れた。
なんかすげぇ、心臓に悪ぃ瞬間だった。
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
