第１６話 ページ18
第１６話
結局、私が居ても特にする事はなく焦凍もお粥を食べ終えるとまた布団に寝転んだ。一体私は何のために居るんだろう。
別に今回に限った話じゃない。私は何のために存在しているんだろう、なんていかにも中学生らしい自分の存在意義に関して考える。
誰だって一度や二度は考えた事あるんじゃないかな。自分は何のために存在しているのか、存在意義はあるのか…なんて。
私は、ずっと考えてるよ。
生まれた頃からずっと。
ヒーローになりたいのは自分の存在証明をしたかったから。もしかしたら、私は誰かに愛されたかったのかもしれない…必要とされたかったのかもしれない。
そう思うと随分、子供っぽい理由だと自分でも可笑しくなったけど。
でも先輩との一件で、人に愛情を求める怖さを知った。信じれば信じるほど、期待すればするほど裏切られた時の怖さを知ってしまったのだ。
だから、私は今ビビってる。
人に愛情を求めるのが、怖い。
だからかな、ヒーローを目指すのが怖くなった。存在証明をしたいからとヒーローになっても、結局何も変わらないんじゃないだろうか。誰にも愛されなかった私は、何をしても無駄なんじゃないか。
あんな思いをするくらいなら、もう誰の愛情も必要ない。愛情なんていらない。
一人のままなら、これ以上傷付く事もないんだ。
そんな事を考えていると、何だかやるせない気持ちになって私はその場に寝転んだ。隣で布団を被っていた焦凍が、私が横になった事に気がついて私の方を見てくる。
「お前も寝るのか？」
「疲れたから、横になっただけ」
「疲れたって…別に何もしてねぇだろ、どんだけ体力ねぇんだ。そんなんじゃヒーローになれねぇな」
ヒーロー、か。
「……そうかも、しれないね」
皮肉に対して珍しく言い返さない私に、焦凍が少し目を見開く。
ヒーローを目指すのが怖い。
結局私は我が身恋しいだけだ。昔からずっと、自分が傷つかない方法ばかりを考えてしまう。
ヒーローを目指せば少しは幸せになれると思った。だけど報われなかった時の怖さを知った途端、ヒーローを目指すのが怖くなって…いっそ独りぼっちでいた方が楽なんじゃないかと思ってしまった。
底辺にいれば、そこより下にはいかないだろうから。
本当に、私はどうしようもなく醜い心の持ち主。
先輩の言った通りだよ。
私は腐ってる。
腐った林檎がお似合いだ。
．
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
