第２５話 ページ28
第２５話
Aの様子がおかしい。
ずっと浮かない顔をしているAに「どうかしたのか？」と聞いてみるものの、こいつは「何でもないです」と言うだけ。
でも、明らかに何か隠してる。
学校で何かあったのか…別の何かか。とは言っても年頃の女子高生なんだから、男の俺には言えない事なのかもしれはい。深く詮索すべきじゃねぇのか。
そう思ってはいても、気になる。何か悩んでるのなら言って欲しいという思いが強くなっていく。
「じゃあ私、お風呂入ってきます」
「……ああ」
ご飯も食べ終え風呂に向かうAを目で確認し、俺はゆっくり立ち上がった。そしてAの部屋に向かうと静かに部屋に入る。
いくら家族になったとはいえ、女子高生の部屋に勝手に入るのはまずいんだろうけど。それでも少し…詮索せずにはいられなかった。
こんな事をして何か分かるとも思えねぇけどな。
そう思いながら少しキョロキョロと部屋を見回すと、机の上にある白い封筒が目に入った。なんだアレ…学校の資料か何かか？
そっと封筒を手に取り中身を取り出してみる。
「っ…………」
封筒の中身を見て俺は息が詰まった。
封筒の中に入っていたのは『犯罪心理学研究計画書』と書かれた資料、それから『斎藤Aさんへ』という手紙。
その計画書にはAを使った研究の計画がズラリと書かれていて、手紙の方には『僕と家族になりましょう』というAへの猛アプローチが書かれていた。
Aが浮かない顔をしていたのは、このせいか。
もしかして…悩んでるのか？
計画書を見て俺も少し驚いた。Aの個性が役立つ場があるのだということに。あいつにとっては願ってもない勧誘だろう。
Aにはあちら側へ行くメリットがある。俺の元へ居るよりも明確なメリットが…。
「…………はぁ」
ああ、でも…なんか嫌だ。
Aはきっと、あちら側へ行った方が幸せなのかもしれない。個性に怯える必要もなく、人の役に立てるのだから。
俺も…Aに幸せになって欲しいってこの間言ったばかりなのに。
なのに、行って欲しくねぇと思うのは
俺を選んで欲しいと思うのは
流石に……我儘なんだろうか？
そんな不安な気持ちを抱えたまま週末を迎えた。夜になりAが「少し散歩してきます…」と言って出掛ける姿に、胸がどうしようもなくザワつく。
だから俺は…Aの後を追って家を出た。
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
