第２３話 ページ26
第２３話
ある学校帰りの出来事だった。
「もしかして、君が斎藤Aさん？」
「え…？」
家に帰ろうと住宅街を歩いていたら、聞き覚えのない声で名前を呼ばれ振り向く。夕日を背に私に声をかけてきたのは、白衣を着た見知らぬ男性だった。
誰だろう…この人は。
彼は私の前にトタトタッと小走りで駆け寄ると、徐に私の手を取り握ってくる。突然のことに「ちょっ…」と驚く私なんてお構いなしに、彼はニコッと微笑んだ。
「会えて光栄です、君をずっと探してた！」
「……なに、を」
「ああすまない…自己紹介が遅れたね。僕はとある医療大学で教師をしている者だ」
「教師…？」
「そう！それでね、是非君に私の研究を手伝って欲しいのさ。出来れば今度の週末なんかにも…」
勝手にベラベラと話し出す彼に少し嫌悪感を感じて握られた手を振りほどく。すると彼は「ありゃ…」と明ら様に肩を竦めて残念がった。
数歩後退り距離をとって「…勝手に話を進めないでください」と彼を少し睨むが、彼は相変わらずニコニコしたまま口を開く。
「君、自分の個性を役立てたいと思わないかい？」
「……え？」
「僕はいま犯罪心理学の研究をしている。研究の為にも直接犯罪者の気持ちとか聞きたいんだけど、流石にそれは出来なくてね。何度も警察に犯罪者との面会を要請したんだけど断られてしまった」
「えっと…」
「そこである日、サイコパスという希少な個性を持つ君の事を知った！君と関わった人間はサイコパスになるのだろう？とても素晴らしい個性じゃないか」
この人は何を言ってるんだろう。
意味がわからない上に、私の個性が素晴らしいなんて。でも…そんな事を言われたのは初めてだ。
「知っての通り私の個性は犯罪者を生み出します。だからあまり人と関わるわけにはいかないので、お役には立てません」
「それは今までの環境での話。僕の研究所でなら君はその個性に怯える必要なんかない。君も、人の役に立てるのなら嬉しいだろう？」
「っ……」
「君の境遇は調べさせて貰った。両親を亡くし今はプロヒーローのショートと暮らしている。今まで辛かったね…でも大丈夫、僕の研究所に来るなら寝床も食事も与えよう」
「でも……私には焦凍さんが」
「あんな偽りの家族なんかじゃなく、僕の元へおいで。僕には君を受け入れる明確なメリットがある。家族が欲しいなら僕がなってあげよう」
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
