第１３話 ページ16
第１３話
焦凍さんの言葉を思い出しハッとする。
なんで今、こんな事を思い出してしまったんだろう。なんで今、焦凍さんに撫でてもらった優しい手の感触を思い出しているんだろう。
私はグッと歯を食いしばり、私の胸倉を掴む彼女の腕を掴んだ。
「……確かに、私は焦凍さんの優しさに、漬け込んでいるのかもしれない」
私なんて、死んでしまった方がいいんだろう。周りに悪い影響しかもたらさない、疫病神みたいな人間だ。
でも、それでも…
「あの人は……私を家族だって、言ってくれた」
「っ、だから何なの！？」
「………だから、今、私の居場所は…あの人の所なんです」
あの人が私を手放すその日まで、私の居場所はあの人の居るところ。家族だって言ってくれた、焦凍さんの居るところ。
浮かれてもいいって言ってくれたから。だから今、私はあの人の側に居てもいいんだって…少しは、浮かれていいんだよね。
「っ…この糞女！！！」
悪意で満ちた目をする彼女は、私の首をグッと締め上げる。その息苦しさに私が顔を歪めると、彼女の腕を誰かが掴んだ。
ピタリと彼女も止まり、私も恐る恐る彼女の腕を掴んだ人物を見る。
「……そこまでだ、離してやってくれ」
「っ！！？」
「焦凍、さん…」
彼女が真っ青な顔で私から手を離し、泣きそうな顔で焦凍さんを見る。好きな人にこんな所を見られたんだ、嫌に決まってるだろう。
「ショート、本物のショート…。違うの、私はただ貴方の事が好きで、こんな事をしたかった訳じゃないの」
「……………」
「でも、でも…この子を見てたら“なぜか我慢出来できなくて”…だから、私」
聞き慣れたセリフ。
彼女の態度を見ていれば分かる。本当にこんな事をするつもりはなかったんだろう。きっと私を何日もつけていたせいで、殺意という負の感情が増幅してしまったんだ。
また、私のせい。
「とりあえず未遂だからな、そんなに重い罪にもならねぇだろ。だから今度からはこんな事しないで、ちゃんと俺のこと応援して欲しい」
「っ……ごめんなさい、ごめんなさい！」
その後、泣きじゃくる彼女を焦凍さんは交番に預けた。彼女は私にも「ごめんなさい」と謝っていたし、本当は悪い人じゃないんだろう。
私の個性のせいだ、彼女は悪くない。それに焦凍さんにも迷惑をかけてしまった。
どんな顔をして焦凍さんを見ればいいのか分からなくて、私はずっと俯いている。
「……A」
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
