第７７話 ページ37
第７７話
楽しい時間は、どうしても早く過ぎていく。
あっという間に日が沈みご飯を食べ終えた私と焦凍さんは、暗い街を彩るイルミネーションを眺め駅前にある一際大きなクリスマスツリーの前にいた。
「クリスマスプレゼント…本当にいらないのか？」
「はい、今日の時間が充分プレゼントですから」
買い物中に『プレゼント何がいい？』と聞かれたが私は『いえ、大丈夫ですよ』と断っていた。欲しい物がある訳でもないし気持ちだけで充分だ。
それに、焦凍さんとクリスマスを過ごせるという事が何よりのプレゼントだと思ったから。
「逆に焦凍さんは何か、欲しいものとか…」
「……俺？」
「私も焦凍さんに何かあげたいです」
そう言うと焦凍さんは少し頭を捻り考え込んだ後、私の方を見て「なら…」と口を開く。
「約束がいい」
「……約束？」
「来年もお前とクリスマス一緒に居たいから、そういう約束が欲しいんだけど…いいか？」
フッと微笑みながら言う焦凍さんに、私は「っ…」と息が詰まった。胸がギュッと締め付けられる感覚を感じながら、私は「……はい」と笑って返した。
「でもいいんですか？折角のクリスマスを、私となんかで…もっと大切な人とかと過ごす方が」
「なら間違ってねぇだろ」
「え？」
「今の俺にとって一番大切なのは、お前だからな。言っただろ…お前以上に優先すべき事なんてねぇって」
私が、一番大切…。
私に手を差し伸べてくれたあの日、焦凍さんは私を『助けたい』と言った。これまでも、私が少しでも楽しいと思えるようにって色々してくれた。
その言葉が家族としてって意味なんだとしても、一人ぼっちだった子供を助けたいという正義感から来た言葉なんだとしても、凄く嬉しい。
私も…そう思う。
今の私にとって一番大切なのは、この人だ。
私に手を差し伸べてくれた、私に人の暖かさを教えてくれた、私に誰かを大切に思う気持ちを教えてくれた焦凍さんだ。
だからこの人が幸せになる未来を望む。そして叶うなら、焦凍さんが幸せになる未来を、どんな形でもいい…近くで見ていたい。
……ああ、そっか。
気づいてしまった。
人はこれを、愛情と言うのだろう。
私が焦凍さんに抱いている感情、それは愛情だ。
家族として？異性として？
どちらでもいい。
轟焦凍という一人の人間を、好きになったんだ。
「………私の、一番大切な人は」
「あれ？轟とAちゃんじゃん」
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
