きゅう ページ10
「バレーやりたいんすよね」
「そう、だけど」
「けど出来ない」
「そう。だから…」
「その理由は怪我だけじゃないってことぐらい、伝えてもいいんじゃないですか」
真っ直ぐにAの目を見つめてそう言う影山の表情は真剣で、言っていることだってなんら間違っていないように思えた。
しかしそれでも及川たちに言えない理由がAにはある。
「あのね影山。俺はね、これ以上あいつらに俺のことを考えて欲しくないんだ」
「？」
「もう1回コートに立って欲しいって思ってくれてることも、待っててくれてることも知ってる。でもそれは、俺の怪我が治るまで待てばいいって言う簡単な答えだけで成り立ってる事だ
そんな中でもし今の俺の現状を話してみたとする
優しい及川や岩泉たちが、静かに待っていてくれるとは到底思えないんだよ」
そう。
Aとしては、及川たちに自分のために動いて欲しくないというのが大きな理由なのだ。
現状を素直に彼らに明かせば、優しい彼らがAの中に焼き付いて離れないその景色をどうにか消そうと尽力してくれるであろうその姿が目に浮かぶ。
それは彼らの仲間を思う気持ちが故であり、それが嬉しくないわけじゃない。
迷惑だと言う気もない。
ただ、Aはそれを欲していないのだ。
Aが欲しているのはAを思いやる気持ちでも、Aを助けるための行動でもない。
ただそれぞれのバレーをしてほしい。自分のために割く時間を、バレーに割いて欲しいのだ。
「…よくわかんないですけど、それじゃダメなんですか」
「駄目。絶対に」
「じゃあAさんは、二度とバレーはしないんですか」
「こうなっちゃう以上諦めるしかないね。震える上に動けないんじゃあコートに立つ以前の問題だし」
「…」
「んふ、なにか言いたそうな顔。でもごめんな影山。これは俺のワガママなんだ。どうしようも無い、欲深いスパイカーだからさ」
優しい目つきでボールを見つめながらそう告げたAを、影山はただただ不満げに見つめ続けるのだった。
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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー！ありがとうございます！直しときます！！！ (4月28日 17時) (
レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね！ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと！？ありがとうございます！！今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ！！！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ありがとうございます！！！！！！！！！！！！！！ (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2021年5月21日 18時
