さんじゅういち 及川side ページ32
Aは特別なんだから、この言葉を贈った直後、Aは俺の言葉に目を瞬かせてしばらくしてから、意味がわからないと言いたげな表情へと変えた。
どういう…？と伺うような眼差しを送ってくるAは俺の言いたいことが全くわからないようで、その視線で言葉の続きを促してくる。
そう。
そんなに知りたいなら少しだけ教えてあげる。
俺がどうして優しいのか。
その理由を。
「…でも優しいだけの俺じゃないよ。優しくするだけじゃお前は引き止められてくれないってわかったから」
少しだけ空いていた距離を詰めるように一歩踏み出せば、何かを感じとったらしいAが半歩後ずさる。
そんな取って食ったりなんてしないのに。
…今は。
「え、と、及川？」
「多少のずるをしてでもいつかお前のことは捕まえる」
「な、にいって」
そのまま下がり続ける気は無いのか、Aは突っ立ったまま俺を見つめてくる。
俺より少しだけ背の高いAの目は見下ろしているはずなのに上目遣いのように見えた。
…あー、これが惚れた弱みってやつ？久々の長時間の運動で熱の篭っただけだって思うべきなのに、Aの赤い頬は俺の都合のいいように映ってしまう。
そんな赤い頬に手を伸ばせば見た目ほど熱はこもっていなくて、むしろひんやりとしていた。
そのまま首元まで指先を滑らせると、Aはひくりと喉を震わせながらもされるがままに見つめてくる。
「…やっぱり冷えてる。今日はもう帰ろう？待ってるから着替えておいでよ」
「え、あ、あぁ」
ぱっと手を離せば、Aは小首をかしげながらパタパタと体育館を出ていく。
きっと今頃頭の中は疑問符で埋め尽くされてるんだろうな。
手を握っても抱きしめても大した反応を見せてくれないから期待はしてなかったけど、思っていた以上にいい反応を得られた気がする。
思い返せば、この想いを抱えている時間もかなり長くなってきた。
大きな壁も1つ片付いたことだし、まだまだ頑張ることはあるけどこの想いを報わせるために少しぐらい動いたってバチは当たらないはず。
それに、あのAの反応は…
「…望み薄、ではなさそうかな」
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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー！ありがとうございます！直しときます！！！ (4月28日 17時) (
レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね！ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと！？ありがとうございます！！今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ！！！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ありがとうございます！！！！！！！！！！！！！！ (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2021年5月21日 18時
