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屯所の周りを何周か彷徨いて、平和な町を適当に見回した。


満月になりきれねえ見栄っ張りな月を見上げてから屯所に戻る。






自分の部屋に近づけば、ヤツの声が聞こえる。


自分の部屋なんだから入ればいいのに思わず、息を潜めて耳を立ててしまった。




「あの…一つ調べてもらいたいことがあるんです。」


土「なんだ。」


「私の兄は、死んだのか。」






土「…死んだよ。」


「そうですか…」





鳥肌が立って、息が喉に詰まる。

やっと解放されたかと思えば、肺は酸素を求めて喉をヒューと鳴らし肩揺らした。




俺の部屋からは女が啜り泣く声が聞こえる。






刀を差し直し、不完全な月に助けを求め屯所を出た。

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作者名:wako | 作成日時:2019年3月12日 4時

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