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「A!お願い!」
悪目立ちしたくないので、試合中はできるだけ控えめにプレーをすると決めていた。
パスを受け取って、止められないぎりぎりのドリブルで切り込む。
ゴールに吸い込まれるボールを見届けて、終了のブザーが鳴り響く。
「ナイスA〜!」
「初戦突破!やったね!」
初戦を見事勝ち抜き、きゃっきゃとはしゃぐクラスメイト達。
その光景をまあ可愛らしいと保護者のような目線で見守る。
ふと左足に視線を落とし、側面を優しくさする。
このまま、最後まで何もなければいいんだけど。
「女子お疲れー!」
試合を見に来ていたクラスの男子がキャットウォークから労いの声を降らす。
「Aめっちゃ決めてたじゃん!」
「相手チーム泣かせんなよ〜」
「泣かせんわ」
次の試合は4試合目。
そこで勝つことができれば決勝に駒を進められる。
「A」
他のクラスメイトの声とは別に、不思議とすんなり耳に入ってきた声。
「お疲れ」
見上げると、思った通り豹馬がいた。
「もっと決めろよな」
「なんで上から目線なの」
「次も頑張れよ」
差し出された拳に、私も左手を伸ばして応えた。

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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月17日 18時