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大きな手が私の頬を掴んで、強制的に視線を合わせてくる。


豹馬の綺麗な顔が嫌でも視界に入ってむずがゆい。


「離して…」


「俺、本気だよ」


いつもの挨拶感覚で好きを伝えてくる豹馬じゃない。


不覚にも私の心臓は、これまでにないほど高鳴っていた。


「照れてんの?顔真っ赤じゃん」


「…う、るさい」


余裕そうな態度にむかついて、頬にある手を引き剥がす。


悪態をついても顔の熱が収まる様子はない。


「…わ、わたし、戻るからね」


「そんな顔で?」


「誰のせいだと思ってんの!?」


ごめんって、と悪びれる様子もなく笑う豹馬。


いつも通りに戻った彼の顔になんだか安心する。


あれ、そういえば何か忘れてるような気が…


「それで付き合ってないは無理があるだろ!」


「見せつけてんのかー!」


ガヤガヤとした声でハッとする。


やばい。


教室から丸見えだということを忘れていた。


「…ほんっと最悪」


「そんな睨むなよ。ま、返事はいつでも待ってるからさ」


豹馬は私の頭にぽんと手を置いて、少年らしく爽やかに笑う。


「クラスマッチ、頑張ろうな」

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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月17日 18時

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