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6才になって半月がたった。
冷たい雨がふり注ぐ 少し肌寒い
朝だった。
今日はお母様の様子がおかしい。
いや、今日だけじゃない
私が術式を扱えるようになってから
お母様はおかしくなった
稽古がきびしくなった。
こんなことも出来ないのかと、たくさん言われた。
なにか、あせっていた。
今日も未だに出せない虫にいらだたせたのか
たくさん稽古の棒で叩かれた。
終わったら司さんが手当をしてくれた。
相変わらずやさしくて、暖かい手だったけど
私の傷を見る目は悲しそうだった。
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夜になると私はあのぎしきの部屋へ
引きずりこまれた
何をするのかはわからないけど
最近おかしかった理由はきっとこれだろう
ぎしきのじゅんびはもう終わっていた。
「A、あなたの力を私に寄越しなさい」
何を言っているのかよく分からなかった
「聞こえなかったの?!貴方の術を私に寄越せって言ってるの!!」
「…え、?でも、」
「貴女はまだ蟲を出せていないじゃない
どうして出来ないの、
貴女のせいで私の計画は滅茶苦茶」
「どうしたのですか?お母様」
「五月蝿い!貴女の力で、貴女の呪いの力で、
私を馬鹿にした奴らを全員呪い殺そうと思ったのに!!」
「領域展開は愚か、蟲すらも出せないなんて!!
どうして、蠱毒はこの娘を選んだの!
私の方がもっと上手く扱えるのに!!!」
お母様はひとしきりに叫び続けた。
「いい?今から貴女の術は私のものになるの」
有無を言わさずぎしきを進めるお母様は
今までに見た事なく怖くて
はじめて泣いてしまいそうだった。
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作者名:久遠 | 作成日時:2020年12月27日 1時