愛しい人よ 【 alan 】

− ページ43

.
(your side)






『広いね』




到着した亜嵐くんの新居は
想像を絶する広さで、

私の知らない物がたくさん。








亜｢そのへんソファとか座っていいよ｣

『あ、うん』

亜｢なんか飲む？酒？｣

『いや、お茶かお水で』








もう一軒、なんて言ってたのに
こんな部屋に来たら
もうお酒なんて喉通らない。








亜｢どーぞ｣







亜嵐くんはグラスを
私の目の前に差し出して
隣に腰掛けた。



さっきまで繋がれた手が
行き場をなくして
仕方なく両手でグラスを持つ。








ブー、ブー








振動がソファ越しに伝わってくる。

パンツのポケットから
スマホを取り出した亜嵐くんは
ロックを解除して画面を眺めてる。




さっきの彼女かな。

こんなのバレたら彼女嫌がるよね。








亜｢ごめん｣

『ううん』






スマホをテーブルに置いて謝る亜嵐くん。

こっちの方が、ごめんなんだけどな。









亜｢あの、さ。｣

『ん？』

亜｢手、出して｣

『え？』

亜｢いいから｣








強引に左手を掴まれて
少し捲れあがった袖からは
彼には見られたくなかったモノ。


いつか買ったお気に入りのブレスレット。








亜｢これさ、｣

『関係ないよ』

亜｢関係なくても、俺のこと思い出さないの？これ見ると｣








思い出さないわけない。






.

−→←−

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す