愛しい人よ 【 alan 】

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(your side)








｢この道ちょっと混んでるんでコッチ曲がりますね｣






タクシーに乗り込んだはいいけど
大渋滞で進まない。

運転手さんが機転を利かして
別ルートへ進む。





…あ、このへん。
何度かミカとナオに連れられて
大学時代にやって来た。







｢このへん芸能人多いんですよねー｣

『あ、そうなんですか？』

｢はい。よく乗せますよ。｣

『へぇー』

｢事務所もありますしね、ほら。あのEXILEの。｣

『…LDH。』

｢そうそう、それそれ。｣








よりにもよって、
何故このタイミングで
この道を通るかな、私も。








｢あの人とか、まさに芸能人っぽい｣







運転手さんが｢ほら左側｣って言って
私も視線を左に向けると


…亜嵐くん。

と、綺麗な女の人。








｢二人とも芸能人ですかね？｣

『…どうでしょう』









あぁ、馬鹿だな。

そりゃそうだよ。

私じゃなくたって、
亜嵐くんの周りには
あんな綺麗な人たくさんいるはず。



まだ想ってくれてる、
なんて自惚れかもしれない。

彼はただ懐かしかった
だけなのかもしれない。








｢ありがとうございましたー｣








タクシーを降りて、
部屋に入って、




亜嵐くん店、適当に決めといていい?



なんてメッセージに
すぐに返せるほどの元気はなかった。



" 適当に " が意外とチクリときて、

『適当って…』って自然と零れた。






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