愛しい人よ 【 alan 】

愛しい人よ ページ1

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俺には、大切な人がいた。





愛しい人。








あの日、君と出会って
あの日、君は去った。




今も俺は君を想い続けている。









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｢亜嵐くん、今日行く店って美味いの？｣









仕事終わりのタクシーの中、
俺にそう問いかけたのはメンディーくん。









｢俺も初めてなんだよね｣

メ｢え、そうなの？｣

｢ずっと気になってて、だから今日行きたいなみたいな｣

メ｢あー。｣








引っ越したばかりの
家の近所のお店。

大通り沿いにあるそのお店は
外からは様子が分からなくて、
少し前から気になっていた。


何も予定がない、って言う
玲於と涼太と隼と行く事になった。








メ「あ、隼からだ。今日来れないって」







タクシーを降りるや否や、
そう言って携帯に視線を向けるメンディーくん。







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− ドンっ









一瞬のことだった。

逸らしていた視線を
ふとメンディーくんの方へ向けると

地べたに座り込む女の子。





そしてその女の子は
俺があの店に行きたい
もう一つの理由。









気が動転している彼女の腕を掴み、
立ち上がらせると
そそくさと彼女は路地裏へ消えていった。




あー、初めてあんな近くで見た。

てか、触っちゃった。









メ｢どうした？｣

亜｢え、いや、ちょっとね｣

メ｢ニヤニヤして気持ち悪い｣









あー、ニヤニヤ止まんね。







メ｢ほんと気持ち悪い。｣







だって、仕方ない。

彼女は俺の片想いの相手だから。







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