お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ8)

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お隣さん、六日目。ページ8

「嘘、フジ君彼女いないの？マジ？」

「マジマジ。だから俺も独り身なんだよね」

一緒だね、と笑う彼の笑顔は、どうにも魅力的に感じてしまって。
思わず見とれてしまった。

「……Aちゃん？」

名前を呼ばれてハッとした。
フジ君が私の顔を心配そうな面持ちで覗き込んでいる。

「ごめん、なんでもない」

苦笑して首を振った。
そっか、とフジ君は目を逸らす。

「はぁ、美味しかった。ありがとうAちゃん。
今度、またちゃんとお礼させて？ねっ？」

「ふふ、良かった。私もフジ君と一緒にご飯食べれて楽しかったよ。ありがとう」

案外彼との時間はあっという間で、そろそろ夜8時を回ろうとしていた。明日はそこまで早くはないし、そんなに早く寝なくてもいいんだけどね。

「わ、もうこんな時間か……もっとAちゃんと話してたかったけど、もう帰らないとでしょ？」

残念そうにフジ君が言った。
私は慌てて首を横に振る。

「ううん、私は明日そんなに早くないし、大丈夫。
フジ君が大丈夫なら、まだ話してようよ」

ダメかな、と問い掛けると、フジ君は『いいの！？』と目を輝かせた。可愛いなぁ。

「じゃあさ、一緒にゲームやんない？Aちゃんはゲーム好き？こっちにね、いっぱいあるんだ」

フジ君が、丁度私の背後に当たる位置にあるテレビ台の棚の部分に几帳面に並べられたゲームソフトをいくつか取り出した。

「わぁっ、すごいね！フジ君ゲーム好きなの？」

「うん、まぁね。Aちゃんどんなゲームやりたい？色々あるけど」

思わず身を乗り出して見てしまう。
フジ君は、いくつか取り出したゲームを何本か
床に並べてくれた。
その中には、私もやった事のあるマ○オカートや、
スプ○トゥーンもあった。

「えっと、じゃあマリ○カート……」

「オッケー。えーと、コントローラーが二つじゃん？んでソフト入れて……よし、これでオッケー」

フジ君がテレビをつけると、ゲーム画面が表示された。久しぶりに見るな……

「じゃあ通信対戦でいい？」

「うん、良いよ。……絶対フジ君強いじゃん」

「そんな事ないって。Aちゃんの方が上手そう」

マッチング画面の前でそんな他愛もない会話をする。
そろそろ試合が始まりそうなので、フジ君も私もコントローラーを握った。

3、2、1、というカウントダウンの後、私を置いてみんなスタートダッシュする。
しまった、操作方法忘れた。