お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ42)

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お隣さん、三十九日目。ページ42

＊Fuji side＊

正直、昨日のことは混乱しか産んでいない。
何故Aちゃんがキヨといたのかも気になるけど、千夜ちゃんとAちゃんが知り合いだったことに一番驚いた。

『……何か勘違いされてないといいけど』

俺がそう呟いた時、千夜ちゃんは半ば不安げな目で俺を見た。

『勘違い……？どういうこと？』

鈍感かよ、こいつ。
さっきのAちゃんの反応見てりゃ分かるだろ。
なんて、そんなのは理不尽か。

『とにかくさ、もう駅着いたから早く帰ろう？
もう遅いから危ないでしょ』

そう言って帰そうとしても、それは彼女には通用することもせず。

『えぇ、やだぁ。もっとフジ君と一緒にいたいっ』

その時の俺は、どんな顔をしていただろう。
気持ち悪かった。不快だった。
なんで俺はこいつと会ったんだ。
否、無理やり会わされたのが正しいか。

他にも人がいるって聞いたから行ったのに、みんなすぐに帰っちゃって。
帰ろうとしたけど、実力行使で引き留められた。

『……俺、明日早いから帰るわ。それじゃ』

絡められた腕を無理やり引き剥がし、無表情でその場を去るのが精一杯だった。
今はとにかく、Aちゃんの誤解を解く方法を考えないといけない。

翌日、まさか向こうから訪ねてくるとは思わなかった。
突然鳴った呼び鈴にドアを開けてみれば、そこに立っているのはAちゃんだった。

「……Aちゃん」

「フジ君。……単刀直入に聞きます。千夜ちゃんとは、別に何も無いんだよね？」

やっぱり、聞かれるか。
でもここは誤解を解くチャンスだ。
俺は彼女を取り敢えず部屋に入れて話をすることにした。

Aちゃんを座らせると、先程と同じ質問をされた。『千夜ちゃんとは、何も無いんだよね』と。
何も無いと言えば嘘になる。何故なら──

「Aちゃん。落ち着いて、聞いて」

『千夜ちゃんは、俺の元カノなんだ』

その一言にどれだけのプレッシャーがあったか。
今の今まで、出来ればずっと忘れていたかった。
未だに元カノを引きずってるとか思われたらたまったもんじゃない。

でも、Aちゃんは俺の予期しなかった言葉を口にした。

「私なんかお荷物でしょう？」

と。
咄嗟に思ったのは、こいつは馬鹿かということ。
Aちゃんがお荷物ならとっくに別れてる。

気付けば、Aちゃんは目に涙を溜めていた。

「私は……幸せになって欲しいだけなの。フジ君に……」