お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ34)

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お隣さん、三十一日目。ページ34

例のパーティーから一週間ほど経った今日。
普段と変わらずしんどい仕事を終え、鞄を投げ出してベッドに倒れ込んだ。

このまんまじゃ寝ちゃう。
スーツシワになっちゃう。
重い腰を上げ、私はどうにか簡単に夕飯の支度を済ませた。

眠気覚ましに少しだけ普段より音量を上げたテレビを見ていると、突然携帯が鳴った。

「電話……？」

誰からだろ、と画面を見てみれば、キヨからだ。
何か用があるならL○NEでもいいのに。
そう思いながら電話を取った。

「はい、もしもし」

「あ、A？今大丈夫？」

キヨもその位の気遣いはするんだ。
そんな失礼なことを考えながら『大丈夫だよ』と答える。

「いや、実はさ、今度友達と飲み行くんだけど、Aのことうっかりそいつらに話したら連れて来いって言われてさ……」

おーおーふざけんなよ？
私酒弱いって言った気がするんだけどな。
私の気の所為かなぁ！！！
記憶改ざんされてたのかなぁ！！！

「でもA酒弱かったろ？別に無理なら無理でいいんだけど……」

「……フジ君、来る？」

彼が来るなら私は行かない。
だって一番醜態晒したくない相手だから。
私は恐らく酒乱。
それは職場の人にも認知されてるし、第一私に教えてくれたのは彼らだ。

「や、用事があるから来れないってよ」

「……なら、行ってもいいよ」

そう答えると、電話の向こうでくぐもった笑い声が聞こえた。こいつ何笑ってんだよ。

「何笑ってんの？」

「いや、別に……倦怠期早くね？」

「そうじゃないの！！」

ただからかわれてるだけなのにここまで必死こいて答えるのもあほらしい気はするけど。
『あ、そう』という気の抜けた返事の後、『また詳細決まったら連絡する』と電話を切られた。

何なんだあいつ、と思いながら、冷蔵庫から缶ビールを取り出して机に置く。
缶ビール一缶くらいなら全然酔わないんだけどね。

ごきゅ、と喉に流し込んだ。
よく冷えたそれは、私の喉を満たすのに十分だった。

飲み終えてから、本当はもう一杯飲みたかった気分だったけど、明日も仕事だし二日酔いになったら洒落にならないから、そのままお風呂に入って歯磨きして寝る事にした。

それから三日後くらいに、キヨからまた連絡が来た。飲みに行くのは今週の日曜。
場所と時間も教えて貰ったけど、キヨとは駅で落ち合って一緒に行く事になった。

キヨの友達か。
2人来るらしいけどどんな人なんだろ。
なんか楽しみだな。