お隣さん、二十二日目。 ページ24
「今日はねぇ、私の企画なんですよ」
「へぇ、珍しいね」
「どんな企画〜？」
「変なのは辞めてくれよ」
撮影が始まり、私はカメラの後ろでその風景を眺めていた。
プライベートで話す時もみんな楽しそうだけど、撮影している時も輝いてるな。そう思った。
今は、キヨが持ってきた企画をみんなでやっているところ。思ったよりまともなもので安心した。
みんな輝いてるって言っても、どうしても一人に目が行ってしまう。フジ君だ。
だってあの時の不審者スタイルなんだもん。
彼はいつもあの格好で実写に出てるって言ってたけど、見てる人怖くないのかな……？
おおよそ1時間ほど撮影しただろうか。
最後にみんなで締めの挨拶をし、キヨが『はいカットー』とカメラを止めた。
「みんなお疲れ様〜」
そう微笑みかけると、みんな嬉しそうに笑い返してくれた。が、そのうちフジ君以外の三人の笑みは、だんだんにやけへと変わった。
「ちょっとA、撮影の時ずっとフジの事見てたろ？気付いてないとでも思ったか？このやろ」
「そうだよ〜。俺ずっと気になってたもん」
「フジが羨ましい限りだ」
ちょちょちょ、何か勘違いされてない？
私の中では不審者スタイルだから目が行ってたっていう事実になってるんだけど？
別の理由とか？ないわけないわけないし？？
「え、そうなの？」
ただ一人、フジ君だけが、私が彼を見ていたことにすら気付いていなかった。
じゃあなんでお前らが気付くねんという話だが。
「いや、違うの！その、不審者スタイルだからさ……それで気になっちゃって」
「嘘つけ」
「黙れヤンキー」
「誰がヤンキーだよ」
必死に弁解するもそれはキヨに遮られ。
ヒラ君とこーちゃんは益々にやけるし、フジ君も何かに気が付いたようで挙動不審になっちゃったし。
どうしてくれんのこの状況。
「ごめん、怖かったよね」
そう言って、フジ君はすぐにサングラスとマスクを取ってくれた。
この場においてまともなのこの人だけなの？
「ううん、大丈夫大丈夫」
『ほんとにさぁ』とキヨが声を上げ、私たち四人は一斉にそちらを見た。
「逆に付き合ってない方がびっくりってくらいお似合いだぜ、お二人さんよぉ？な？」
キヨがヒラ君とこーちゃんに問い掛けると、二人とも即頷いた。
「うんうん。だって俺何も言われなかったら彼女かなって思ってたと思うし」
「だな。俺もだわ」
小学生レベルじゃねぇかもう……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋奈香 | 作成日時：2019年8月13日 6時
