きゅんとしたら寝ろ。

芸能人.3 ページ14

色々なポーズを取っていくうちに、大樹くんとの撮影を楽しいと感じてきた。

次は何をするんだろう、と表情もイキイキしてきた気がする。


『最後はキスシーンなんだけど、大丈夫かな？』

「キ、キキキス、シーンですか!?」


いくら何でも、それは無理！
初めてがお仕事の撮影だなんて嫌だよ、好きな人とって決めてたのに。

だけど、最後までやりきりたい。
それに優しい大樹くんなら、って思えたから。
私は大丈夫ですと告げた。



「Aちゃん、本当に大丈夫…？本当に近いよ？」
「大丈夫です、頑張りたいので」



だけど、いざとなったら顔が強ばる。
緊張どころじゃない。

彼の手が頬に触れたと思ったその時



目をそーっと開けると、計れないくらいの近距離に彼がいる。
だけど唇は、当たって、無い？


何度かパシャパシャという音がなった後、OKですの声が。




「お疲れ様、本当にありがとうね」




彼の言葉に、しばらく反応が出来なかった。
良かった、と思ったのと、残念だと思ってしまった。


でもそれは、合法的に「人気モデル瀬名大樹とキスがしたかったから」ではないことはすぐにわかった





「Aちゃん？」







その瞳に、恋をしてしまったから。









( さっきはありがとうございます、最後の… )
( ううん、当然のことをしたまでだよ )
( ……でも、いや何でもないです )
( ？ )

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