無口 ページ10
「大樹くん、?」
「……」
「あ、やっぱりそうだ。」
顔半分をマスクで覆い隠した大樹くん。
今日は大樹くんとデートなんです。
……デートという名の、ただの誕生日パーティーの買出し係。
大樹くんが買出し係と決まった瞬間、私は立候補して、同じ係に。
初めて見る私服は、すごくラフな、男の子らしい服。
無難だけど、さっぱりとした服がよく似合っていた。
「今日はよろしくね」
「はいはい。」
「えへへ、どこいく?loft?」
「どこでも。」
「じゃーloft行こう!近いし!」
テンション低めに「いえっさー」なんて言うもんだから、つい声を出して笑ってしまった。
大樹くんは、冷たいんじゃなくて、ほんとに面白い人。
だから、一緒にいて楽しいんだ。
場所に向かっている最中。
人からの視線が痛い。
だって、大樹くんはかなりの美形。
マスクをしていたって、溢れ出る色気。とても高校生とは思えないほど。
会話は特にないけど、この空気感がまた堪らなくすき。
「なんかすげえ見られてる」
「大樹くんを見てるよね、はは」
「違うだろ」
「えー?」
前言撤回。
会話のない静かな空気感も堪らなくすきだけど、やっぱり好きな人に話をふられる方がすき。
だけど、大樹くんも、私と話したいとか、私といて楽しいとか、思ってくれる時が1秒でもあれば、それで充分幸せ。
「お前の彼氏とか思われてたり、」
相変わらず、大樹くんは前を向いたまま、顔色を全く変えずにボソリと呟いて。
思わず歩いていた足の動きを止め、赤い頬を手で隠して隠して。
いつもなら、笑って返せるのに。
嫌だ、間に受けちゃって、自惚れて。
「誤解を解かなきゃね。」
付き合ってません、とか紙に書いて貼ろうか?、なんて強がって笑って。
本当はそんな余裕ないのに。
「……俺は勘違いのままでもいいと思うけど。」
あなたの一言で一喜一憂するほど、あなたにメロメロっていう事実は、
私にもあなたにも消せない、隠せない、秘めておけない。
(……)
(わは、大樹くんヒゲメガネ似合いすぎ!)
(おいコラ)
(すいません)
◇
無口
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名乗るほどのものである - めっちゃ面白いですね。だいすきで、いっつもみてます! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 47d2a3a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐーるな - 『卑屈な先輩』がきゅんきゅんしてお気に入りです〜!というか、1話目からきゅんきゅんして…負けましたぁ!! (2017年7月26日 17時) (レス) id: 1b19e65de3 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - ムードメーカーヤバイです!キュンっとしました! (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1f7727a96e (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - まさかの1話目で負けました、、、強すぎますよ (2017年5月26日 18時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
江戸の兎 - 同じく、優男にやられました(チーン)でも、すごくきゅんと来ました!これからも頑張って下さい! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 7c6ad326a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐらたん。 | 作成日時:2016年2月21日 3時