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優男に片想い.1 ページ25

「おはよ、A」


私の肩をトントンと叩き、振り向けばそこにはクラスメイトの大樹。

黒目がちで大きめな瞳は、中性的なイメージを湧かせる。

おっとり、ゆったりとした彼の独特なペースに飲み込まれそう。


「うん、あ、今日宿題やった?」


そうじゃないでしょ、私!
おはよう大樹って返したいのに。
あんなこと別に言いたくないのに。

口が勝手に動いてしまう。私はこわがりで弱虫で。


「やってきたよ、今日指されるんだよね俺」


挨拶も返さないような酷い私にも、丁寧な言葉で返してくれる優しい彼。

こっちが気を使わなくたって、自然と会話が広がる。


楽といえば楽だし、楽しいというのが一番だ



だけど、彼が宿題を忘れてくれていたら。

しょうがないから見せてあげる、なんて口実だって出来たかもしれないのに。



「Aも今日、指されるんじゃない?」

日付、確認してみなよと言われ、スマホを見る。

確かに、今日の日にちは私の出席番号とかぶっていた。


「指されるかも。」
「でしょ?てか、壁紙!体育祭の時のだよね」


スマホの壁紙。

私は去年の体育祭の時に撮ったクラス写真にしている。
ちなみに去年も大樹と同じクラスだった。

……ツーショットとは言えないけど、一緒の一枚の写真に写っているから。

友達に押され、隣同士に並んだ私と大樹。


だけど大樹の隣にはもうひとりの女の子




「なんかもう懐かしいね、楽しかった」
「そうだね、色々あったもん。特にお前が!」
「あは、まさか告白されるとはね」



体育祭の最後の最後。
全校生徒の前でコイツは告白された。

断れない性格だとか何とか言っていたが、今のコイツを見ると、無理矢理にはとても思えない。



あの日も、私はおめでとうと笑えていなかった。

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名乗るほどのものである - めっちゃ面白いですね。だいすきで、いっつもみてます! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 47d2a3a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐーるな - 『卑屈な先輩』がきゅんきゅんしてお気に入りです〜!というか、1話目からきゅんきゅんして…負けましたぁ!! (2017年7月26日 17時) (レス) id: 1b19e65de3 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - ムードメーカーヤバイです!キュンっとしました! (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1f7727a96e (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - まさかの1話目で負けました、、、強すぎますよ (2017年5月26日 18時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
江戸の兎 - 同じく、優男にやられました(チーン)でも、すごくきゅんと来ました!これからも頑張って下さい! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 7c6ad326a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぐらたん。 | 作成日時:2016年2月21日 3時

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