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短編5ー3 近くにいるほど届かない ページ21

Aside





野坂くんが私に渡してくれたのは練習の時、壊れてしまった時計だった


A「どうして壊れたこと・・・」

野坂「あはは、あんなに大騒ぎになってたら誰だって気づくよ」

A「・・・ありがとう・・・嬉しい・・・」

野坂「喜んでもらえてよかった」


ニコッと笑顔を返してくれる野坂くん


A「!わ、私何もかえせるもの持ってなくて・・・」

野坂「いいよ、それは僕が勝手にあげたものだ」

A「・・・ほんとに貰っていいの?」

野坂「うん、Aちゃんのために買ったんだ」

A「野坂くん・・・ありがとう!野坂くんにプレゼントもらえて嬉しい!」

野坂「・・・」(意味わかって言ってるのかな)


なんだかじーっと見てくる野坂くん


A「・・・?あの、野坂くん?」

野坂「・・・あ、いや、なんでもないよ」




しばらく黙り込む野坂くん




私もなんだか黙り込んでしまう。やっぱり野坂くんはかっこいい。顔も整ってるのにこんなに優しい



野坂「あのさAちゃん」

A(ドキッ)「はい・・・」

野坂「Aちゃん、誰かと付き合ったことある?」

A「ええ!?な、ないよ!1度も!///」

野坂「へぇ、結構モテるのにね」

A「全然そんなことないよっ私、そういうの消極的だし・・・」

野坂「・・・つまり、好きな人がいても行動には出せないってことかな」

A「う・・・野坂くんは・・・付き合ったこと・・・ある?」


ブーメランが帰ってきそうなことを聞いてしまった気がする。なにせ野坂くんはモテる。ほかの学校からもファンは多い


野坂「・・・ないよ」

A「え!ないの?!」

野坂「そんなに驚くことじゃないよ。そんなふうに見える?」

A「だって野坂くん、すっごくモテるし」

野坂「そんなに褒めてももう何も出てこないよ」

A「ほんとだよ!全然届かない存在的な・・・そんな的な・・・」

野坂「・・・届かない存在・・・か」


実際野坂くんは本当にモテる。私も・・・野坂くんが好きな女の子の1人。でもこの恋は実らない、倍率が高すぎるんだもの








野坂「僕も好きな人がいるんだ」





A「・・・え?」




今までにないくらいズキリと心臓が痛かった

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作者名:桃香 | 作成日時:2019年12月24日 20時

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