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side 涼太
涼「なんでっ…くそっ…」
スマホで "片寄涼太" "GENERATIONS" と打ち込んでは、出てきた情報を片っ端からノートに書き写す。
"GENERATIONS" のリリース情報。ツアーのこと。メンバーのこと。
"片寄涼太" の出演情報。現在までの軌跡。
片っ端から全部書いて見るのに、何一つピンと来るものはなくて。
知ってるはずなのに。
涼「午前0時……病室で念仏を…糸……」
昨日、亜嵐くんが持ってきてくれたDVDを、順番に手に取る。
まだ他にもあるんだよ、なんて言ってたけど。
この中にあるものも、その他と言われてもピンと来るものはやっぱりなくて。
コンコンッ…
涼「はい」
ノックの音が響いて、慌ててDVDを布団の中に隠す。
メ「急に来てごめんね。一応LINEしたんだけど、見てなかったでしょ?寝てるとしても顔だけ…って思って」
涼「あ、すいません。わざわざ」
ゼリー入れとくね、なんて言いながら冷蔵庫にゼリーを入れるメンさん。
その後ろ姿を見ながら、メンさんと最近笑ったことあったっけ、なんて考える。
いっぱい見てきたはずなんだ。
いっぱい話して、ぶつかってきたはず。
この大きな背中に触れたことも、いっぱいあるはず。
なのに、なんで思い出せないの?
思い出がない、なんてはずはない。
調べたところ、俺は雑誌で自分がGENEファンなら推しは…という質問に対して、メンさんと答えている。
付き合うならメンさんと言ったこともあるみたいで。
それなりの根拠があるはずなんだ。
メ「…た、涼太!体調、悪かった?」
涼「っ、大丈夫です。すいません」
メ「んーん、謝らなくてもいいんだけどさ。しんどかったら、俺のことは気にせず寝なよ?俺が勝手に来たわけだし」
優しい声。
もっと、他に。
涼「メンさん、俺…」
メ「んー?」
涼「あ、いやっ…」
言えない。
俺が思い出したいと言っても、"無理しちゃダメだよ" とか、"焦らなくていいよ" なんて言葉ばかりで。
言えないんだ。
聞いてしまえば、迷惑になる。
無理して俺が体調を本当に崩したら、迷惑でしかない。
涼「メンさん、俺とのツーショットあったらくれませんか?なんか写真がないと寂しくて、」
メ「いいよ。この辺かな」
そう言って送ってくれるメンさんの優しさに甘えた。
何か手がかりが欲しくて、それでもそれを見たところで。
頭が痛くなるばかりだった。
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りさ - 完結おめでとうございます(*^-^*)作者さんのペースで書き続けて下さい(*^-^*) (2021年9月22日 4時) (レス) @page34 id: fac51451cf (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 完結おめでとうございます(*^-^*)作者さんの書き続けて下さい(*^-^*) (2021年9月22日 4時) (レス) @page34 id: fac51451cf (このIDを非表示/違反報告)
りさ - jdhchebbdnさん» いえいえ(*^-^*) (2021年9月22日 4時) (レス) @page33 id: fac51451cf (このIDを非表示/違反報告)
jdhchebbdn(プロフ) - りささん» ありがとうございます (2021年9月20日 22時) (レス) id: 23d7ad1fb8 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 作者さんが決めることなので無理には言いませんが続けて欲しいなと思ってます(*^-^*) (2021年9月20日 3時) (レス) id: fac51451cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jdhchebbdn | 作成日時:2021年8月21日 18時