Angel of Death (ページ24)

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「はぁ…、３Ｄ」

翌日、尻尾を踏まれて不機嫌な夏翠が向かったのは本社。久々に訪れた本社は何も変わっておらず、感心したような、そんな感情だった。

自由奔放な夏翠のマネージャーは4年前から変わっておらず、夏翠じゃ急に配信をしなくなっても何も言わなかった。そんなマネージャーから言われた言葉は、３Ｄをやってみないか、という提案。

「面倒だなあ、やってもいいけど」

「今リスナーやライバーが夏翠さんに夢中になってるうちにやった方がいいと思いまして」

「え～、…でも俺また配信しなくなるかもしれないし」

「じゃあ、今日は提案だけで。考えといてくださいね」

「はいはい」

何もかもが面倒な夏翠は、３Ｄ配信をすることさえも面倒臭かった。うーん、と唸りながらマネージャーと別れると、誰もいない廊下を進んでいく。歩くたびに歪んだ鉄パイプが足に当たる。そろそろ変え時か、なんて思いながら角を曲がると、人とぶつかりそうになる。

「…っぶね、すんません」

夏翠が謝ると、相手も頭を下げた。

「いえ、俺の方こそ…、あれ、夏翠」

「んあ？…お、ガク」

ぶつかりそうになった相手は伏見ガク。彼もちょうど本社に用事があったらしい。

伏見はついでだからと本社で配信をしていく予定らしく、夏翠の腕を掴んでずんずんと進んでいく。おい待て、なんて言葉を聞きもせず。

「まぁまぁ、ちょっとくらいいいじゃん！」

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