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「俺明日本社なんだよね」
配信が終わり、夏翠が再びデッキを見直し始めながら呟いた。え?と剣持が首を傾げるのも無理はない。夏翠はライバー活動を4年もやっていて、本社へ足を運んだのは片手で数えるくらいしかないのだ。
「何しに?」
「や、なんか来てって言われた」
夏翠本人も何をするのかは何も知らされておらず、とにかく明日来てくれ、としか言われていなかった。
何するんだろうね、と剣持に聞いたが、僕が知るわけないだろ、と一刀両断されてしまった。
今日は剣持の家に遊びに来ただけだが、どうせなら、と今日は泊まることに。剣持宅、伏見卓、夏翠宅に3人はよく集まるため、最低限の私物は置いてあるため、急に泊まりになっても支障はないのだ。
「そういえば、夏翠くんが復活したから他のライバーが騒いでますよ」
「なんでぇ?」
「伝説の人だからでしょ」
「誰が?」
「あんただよ」
「あ、俺?」
「4年も配信してないのにチャンネル登録者は増える一方だし、4年間ずっと僕の傍にまとわりついてたんだから」
「まとわりつくっていうな」
人聞き悪い、なんて言いながらも、用意されたベッドに潜る。ちろり、ベッドからはみ出る尻尾を剣持に踏まれるまで、あと数分。
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月19日 20時