Angel of Death (ページ21)

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「人間界…」

ぽつり、呟いた。目の前の白髪の青年が言った場所は、夏翠が数百年前まで住んでいた場所。そして、自ら命を絶ち、逃げた場所でもあった。

夢を叶えるまで傍にいると言ったのに、やはり口約束なんてそんなものか。

「ご、ごめん、でも家族で移住することになって…」

「いいよ、もういい」

「夏翠」

「人間界でも頑張れよ」

夏翠、と名前を呼んでと引き留める葛葉の言葉も聞かず、夏翠は大空へと飛び立った。

葛葉の家系である一家が人間界に移住したのは、その数日後。夏翠は、見送りには来なかった。

それからまた数年後。人間界での生活にすっかり慣れた葛葉は、にじさんじにスカウトされ、明日からデビューとなる。せっかくだからと、にじさんじの他のメンバーを見てみよう、とサイトを開いた。

すると、そこにはよく知った男がいた。

「…か、夏翠…？」

赤い髪に特徴的な目の傷。ピアスにタトゥー、サングラス、鉄パイプ。さらにはゆらりと伸びる尻尾。すべてが同じだった。

思わず画面にくぎ付けになり、TwitterやYouTubeのアーカイブを探った。見れば見るほど、夏翠そのものだった。

「…会えた」

何年も会えなかった友人にようやく会えたと喜んだのもつかの間。夏翠は、翌日葛葉がデビューした日に配信をしてから、翌日から4年間姿を見せなくなった。

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