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吸血鬼と死神の友好関係はそれからも続き、葛葉はすっかり大人の姿になった。数10年経ってもおお互い姿が変わらないのは、人間ではないからだろうが。



夏翠は葛葉を可愛がり、葛葉は夏翠を尊敬していた。





「なぁ、夏翠の鉄パイプって何に使うの?」



「今更?これは魂取るのに使うんだよ。本だと鎌を持ってたりするけど、俺はこれが好き」



「ふーん。…今日も散歩行く?」



「いいね、昨日よりも遠く行ってみるか」





彼らが会って話すときは、いつも少し遠出をして知らない土地を探していた。今日も新しい土地を探そうと、葛葉は羽を広げた。





「昨日は南に行ったから、今日は北に行くか」





ふわりと浮かんだ葛葉を追うように、夏翠もふわりと浮かぶ。葛葉の白い髪と、夏翠の黒い尻尾がゆらりと揺れた。





「死神になってからも人生なんどうでもよかったけど、今結構楽しいかも」



「俺と会ったからだろ」



「少し前までガキだったのにな」



「お前が大人だったんだよ」






風を感じて大空を飛びながらそんな会話を繰り広げる。種類の違う魔族が集うことは珍しくもないが、数10年も関係が続いているのは珍しいことだろう。それだけ、二人の間には絆と呼ぶにはあまりに深すぎる関係ができていた。





「俺、お前の夢叶えるまで絶対お前の傍離れねぇわ」





そんな葛葉の言葉を、夏翠は信じていた。彼となら、自分の夢をかなえられるかもしれない。





「ごめん、俺、人間界行くことになった」





それから数年後、信頼する彼にそう言われるまでは。





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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月19日 20時

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