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「あ〜、眠い、眠過ぎる。朝飯何?」
「眠い眠い聞いてたら俺も眠くなるからやめろ。今日は目玉焼きと味噌汁と白米。目玉焼き醤油だっけ?」
「醤油〜、かけてくれんの?」
「アホか、自分でやれ」
眠たいと大騒ぎする俺を宥めるのは、俺よりも数センチ身長が高くて、綺麗な茶髪で、綺麗な並行二重で、頭が良くて、気遣いができて、そして優しい、男。
そう、男だ。
俺が叶にも、リスナーにもこいつの事を言えない理由。たくさんあるけれど、大半を占める理由はそれだった。
いくら最近の人間界が差別をしなくなったとはいえ、0ではない。
一体どう思われるか、それが怖かった。
「おい、…おい、サーシャ」
こいつは俺の事をサーシャと呼ぶ。
家族しか呼んでいない名前だったけど、特別に呼ぶことを許してやった。
いや、サーシャと呼べ、と言ったのは俺からだったか。
それほど、家族として傍にいて欲しかった。
名前を呼ばれてハッとしては、何事も無かったかの様に赤い瞳を向けた。
「大丈夫か?眠いなら飯食ってさっさと寝てこい」
「アハ、大丈夫だって。お前は?今日仕事?」
「ん、仕事。もうすぐ出る」
俺が朝になったら配信をやめる理由は、こいつと一緒に朝飯を食いたいから。
……ああ、そうだ、まだ言ってなかった。
吸血鬼と人間の寿命は違う。だから、俺は毎朝こう言うんだ。
「今日も一日好きだぞ、
「…ちゃん付けやめろって」
こんな事言って、照れてるのはわかってるんだ。
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月7日 11時