俺達ができること ページ34
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【side 拓磨】
頑なにカメラマンの名前を言わない健太さんに場の空気がどんどん悪くなる。
単純に疑問だった。俺達の矛先はカメラマンにあるわけで。なのに健太さんは決して口を割ろうとはしない。もしかして一人で乗り込む気じゃ。
「っ、健太さんダメですよ!独りでカメラマンのところに殴り込むとか。絶対にダメですからね!」
俺の言葉に健太さんは無造作に頭を掻いた。
「そんなことしないって。だってそのカメラマンだけじゃないんだよ。Aのことを悪く言うヤツなんてこの世にまだまだいる。たった一人を潰したところで意味なんかないんだって」
「っ、じゃあ。健さんは見過ごすってことですか?雪が自分で自分のこと傷付けてんすよ!今回は軽い傷で済んだけど次はどうなるか、」
唇を震わせて目を潤ませる壱馬さんに昂秀やまこっちゃんの啜り泣く声が響き渡った。
みんなの様子を冷静に俯瞰してるように見える樹さんも拳を強く握り締めている。
「その分、愛をあげるしかないだろ。悪く言うヤツらの何倍も何十倍もAを愛してあげるのが俺らにできることなんだって」
誰もが健太さんの言葉に茫然とした。
「やっぱすげぇわ、お前」
山彰さんがぼそっと呟いたタイミングで目を赤くした雪さんが勢いよく会議室に入って来た。
「健太くんはなんでそんなにカッコイイの」
俺達の目もくれずに健太さんに抱き着く雪さんに場の空気が一変して柔らかくなった。
「なんかさ、やっとわかったかも。雪が健太さんを選んだ理由が」
北人さんの言葉に全員が頷くと、雪さんは健太さんから離れると俺達に頭を下げた。
「みんな、心配かけてごめんなさい。みんなに怒ってほしいわけじゃないんです。だから、あの……これからもよろしくお願いします」
再び頭を下げて謝る雪さんにみんなが駆け寄る。心配させやがってと悪態付く山彰さんだけどその顔は何だか嬉しそう。樹さんだって何も言わないけれど雪さんのそばを離れない。雪さんは涙目の龍の頭を背伸びして撫でている。
そして、何よりもその様子を椅子に座って眺めてる健太さんが無性にカッコよくみえた。
「健太さん、やっぱり健太さんは僕の憧れです」
「ひひっ、じゃあそんなたっくんにいいこと教えてやろうか?」
「え?何すか?」
健太さんはニヤッと笑うと衝撃的な発言をした。
「俺ら結婚することにしたから」
静かだった会議室に俺の叫び声が響き渡ったのは言うまでもない。
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Lala(プロフ) - Sachiさん» コメントありがとうございます!もうここからは二人を邪魔するものは何もないはず(笑)第5章は今まで以上に糖分高めで頑張りますね! (6月27日 20時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
Sachi(プロフ) - 更新ありがとうございます!健太くんの愛情たっぷりの爆イケモード全開ですね(⑉• •⑉)毎回きゅんきゅんしちゃってます。大変だと思いますLalaさんの無理のないペースでの更新楽しみに待ってます(*ˊ˘ˋ*) (6月17日 0時) (レス) @page50 id: dd61dcfcb9 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ひろなさん» コメントありがとうございます。大好き!って言ってもらえて嬉しいです。更新頑張りますね! (6月7日 22時) (レス) @page46 id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
ひろな(プロフ) - 更新ありがとうございます!大好きなお話です。続きも楽しみにしております。 (6月4日 22時) (レス) @page45 id: 45f55b7c83 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ふーちゃんさん» お待たせしてしまってすみません。取り急ぎ更新しましたので楽しんでくださいね! (6月4日 9時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lala | 作成日時:2022年2月8日 22時