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想定外の言葉 ページ32

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ソファーに並んで座ると健太くんは私の肩を優しく抱き寄せた。その温もりに安心して涙が次から次へと溢れる。ぽつりぽつりと喋る私の話に健太くんは黙って耳を傾けてくれた。




楽屋に入った瞬間、目に入ったのは下着だった。でもその程度の覚悟はできていた。脱ぐことへの躊躇いは捨てたつもりだった。



「…で、カメラマンの人に男性を誘うような表情してほしいって言われて。誘うような表情なんて意識したことないし。どうしようって困ってたら、カメラのことを恋人だと思えばいいって。同じグループに恋人いるんでしょ?って。元カレも同じグループ?それとも先輩グループの人?って。まぁ男所帯にいて経験豊富だとこういうの得意分野でしょ、って。カメラマンさんが私のこと好き放題喋り始めちゃって。早く撮影終わらないかなって頭の中ずっとそればっかり」



カメラマンの棘のある言葉を真に受けないように、とにかく愛想笑いを返すことで精いっぱいだった。



「一旦休憩になってね、楽屋に戻って自分の顔を鏡で見たらいきなり怖くなっちゃって。あと少しだから頑張ろうって頭ではわかってたんだけど、体が勝手に動いてて。気付いたときにはマネージャーさんが血まみれの私を見て叫んでた」



そこからの記憶はほとんどない。気付いたら病院だった。


一通り話し終えるも健太くんの表情はずっと強張ったまま。健太くんのことだ。責任を感じてるに決まってる。



「今までの俺達だとさ、ここでまた離れるんだろうね。Aがこれ以上傷付かないように俺から別れを切り出すか。俺に迷惑かけないようにってAから離れていくか。Aはどうしたい?」



その思い詰めた表情に別れという単語が頭を過ぎった。



「っ、健太くんにまかせる」



どうしていつも上手くいかないんだろう。ただ健太くんが好きなだけなのに。一緒にいたいだけなのに。



「じゃあさ、A。俺ら結婚しよう。俺らの結婚記念日いつにする?」



想定していなかった健太くんの言葉に開いた口が塞がらなかった。





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その気持ちは理解し難い→←ごめんねと謝る君



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Lala(プロフ) - Sachiさん» コメントありがとうございます!もうここからは二人を邪魔するものは何もないはず(笑)第5章は今まで以上に糖分高めで頑張りますね! (6月27日 20時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
Sachi(プロフ) - 更新ありがとうございます!健太くんの愛情たっぷりの爆イケモード全開ですね(⑉• •⑉)毎回きゅんきゅんしちゃってます。大変だと思いますLalaさんの無理のないペースでの更新楽しみに待ってます(*ˊ˘ˋ*) (6月17日 0時) (レス) @page50 id: dd61dcfcb9 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ひろなさん» コメントありがとうございます。大好き!って言ってもらえて嬉しいです。更新頑張りますね! (6月7日 22時) (レス) @page46 id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
ひろな(プロフ) - 更新ありがとうございます!大好きなお話です。続きも楽しみにしております。 (6月4日 22時) (レス) @page45 id: 45f55b7c83 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ふーちゃんさん» お待たせしてしまってすみません。取り急ぎ更新しましたので楽しんでくださいね! (6月4日 9時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Lala | 作成日時:2022年2月8日 22時

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