ごめんねと謝る君 ページ31
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【side 健太】
病院に着くとすぐに受付へと向かった。事情を説明するもやっぱり入院病棟には入ることは許可してもらえず。何とかならないか、と粘る俺を見兼ねて担当医がわざわざ出て来てくれた。安静にできるなら帰ってもいい、と。
「本当は入院してもらいたいところだけど、本人も帰りたがってるんでね。今、手続き進めるからもう少し待ってもらえる?」
「あ、はい。すみません、無茶なこと言って」
「……少し時間あるかな?話したいことがあるんだ」
担当医との話を終えて待合室に向かうとフードを目深に被ったAが体を縮こませてソファーに座っていた。
「A、おまたせ。帰ろっか」
俺の呼び掛けに顔を上げたA。マスクはしているものの、右頬には大きなガーゼ。額にも赤い傷が数ヶ所。見るだけで痛々しいAの傷に思わず顔が強張った。
「そんなにひどいの?私の顔」
不安げな表情のAにそんなことないよ、と笑ってみせるも包帯で巻かれている両手が怪我の酷さを物語っている。
「傷が残っても好きだから安心しろよ」
わざとらしくカッコつけるとAが少しだけ笑みを浮かべた。
「…へへ、健太くんならそう言ってくれると思ってた」
家に着くとすぐに洗面台で自分の顔をまじまじと見るA。後ろからそっと抱きしめるとAが俺に体重を預けた。
涙目で俺を見つめるAに、さっきの担当医の言葉を思い出す。右頬の傷は破片が刺さるにしてはやけに深く、事故ではなく故意の可能性が高い、と。マネージャーも誰かに何かされた可能性が高いと言っていた。
「頑張るって言ったのに逃げ出してごめんね、」
……やっぱり。Aの言葉で確信に変わった。
「…なぁ、A。なんでこんなことした?何があった?」
Aは自らの手で自分を傷付けていた。
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Lala(プロフ) - Sachiさん» コメントありがとうございます!もうここからは二人を邪魔するものは何もないはず(笑)第5章は今まで以上に糖分高めで頑張りますね! (6月27日 20時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
Sachi(プロフ) - 更新ありがとうございます!健太くんの愛情たっぷりの爆イケモード全開ですね(⑉• •⑉)毎回きゅんきゅんしちゃってます。大変だと思いますLalaさんの無理のないペースでの更新楽しみに待ってます(*ˊ˘ˋ*) (6月17日 0時) (レス) @page50 id: dd61dcfcb9 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ひろなさん» コメントありがとうございます。大好き!って言ってもらえて嬉しいです。更新頑張りますね! (6月7日 22時) (レス) @page46 id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
ひろな(プロフ) - 更新ありがとうございます!大好きなお話です。続きも楽しみにしております。 (6月4日 22時) (レス) @page45 id: 45f55b7c83 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - ふーちゃんさん» お待たせしてしまってすみません。取り急ぎ更新しましたので楽しんでくださいね! (6月4日 9時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lala | 作成日時:2022年2月8日 22時