Seasons ー第3章ー

過去◆2019 歌詞に込めた想い ページ10

.





今、私はレコーディングブースの中に立っている。


ブースの外にはRIKUさん、壱馬さん、北人さん。


やっと、例の作詞が完成したのだ。


せっかくなら雪ちゃんの声で聴かせようというスタッフさんの悪ノリで、なぜか私が歌うハメに。


大きく息を吐くとピアノの音に耳を澄ます。





頭に浮かぶ情景は、みんなと初めて出会ったあの頃。



自分が女だから、とみんなに壁を作ってた。


THE RAMPAGEとして活動する覚悟が足りずに合宿に参加しなかった私をみんなが優しく迎え入れてくれた。


2回目の武者修行では山彰さんと初めて本音でぶつかったっけ。


そうだ、そこからボーカル3人の歌声を聴いて踊るようになったんだ。



今、私がこうやってTHE RAMPAGEとして居られるのは。16人の頼れる仲間が居たから。



そしてなにより、どんなときでも私を見守ってくれた健太くんが居たから。


健太くんは私にたくさん愛をくれた。いつだって支えてくれた。


だから、今度は私が健太くんに何かしてあげたい。





―――…歌い終えてヘッドホンを外すと、途端に襲う恥ずかしさ。



歌詞を書いた紙で顔を隠しながらブースの外に出ると、ボーカルの元に向かう。



「え、」



驚いたのはボーカル3人の目には涙が浮かんでいたから。


RIKUさんは鼻を真っ赤にして泣いてるし、北人さんは涙が目に溜まって今にも溢れ出しそう。壱馬さんは綺麗な涙を一筋流していた。



「っ、なんだよ。めちゃめちゃいいじゃん！雪最高っ」



鼻を啜りながら私を抱きしめるRIKUさんに、ほっと胸を撫で下ろす。スタッフさんには褒められてたけど実際に歌う3人の反応が正直怖かったから。




「……雪、最高のラブソングだな」




私の気持ちを知っている壱馬さんにだけは、この歌詞の君(きみ)が誰なのかバレていた。





.

insta◇TALK WITH YOU-名古屋-→←戻ってみますか？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す