Seasons ー第1章ー

過去◆2016 同志 ページ12

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啜り泣く私に瑠唯さんはティッシュを差し出してくれた。



「ごめんね雪ちゃん。でも山彰の言いたいことは俺ら全員が思ってることだよ。あのさ、黙っててって言われてたけど。実は雪ちゃんをRouteCに入れるって決めたのは健太なんだよね」


「けんたくんが、？」


「ごめんね。俺と山彰も健太と雪ちゃんのこと知ってる。LIKIYAさんと陣さん、健太と山彰。あと俺の5人で話し合って雪ちゃんをRouteCにしようって決めた。健太は雪ちゃんの弱さを見抜いてた。俺と一緒にいると雪ちゃんは普通の女の子になるって。このままじゃアーティストにはなれないって」



瑠唯さんの言葉に目の前が真っ暗になった。


出会った時、健太くんに言われたじゃん。私のダンスが好きだって。それが、たかが恋愛ごときで実力が落ちるなんて。



「ふっ、情けない。山彰さんの言う通りだ。私、ダサすぎ……」



止まったはずの涙がまた堰を切ったように溢れ出す。


健太くんだって今は自分のことで精一杯なはずなのに、私のことを私よりも考えて悩んでくれて。


なのに、私は健太くんに甘えてばっかだ。

これ以上、迷惑を掛けることなんてできない。

健太くんに嫌われたくないよ。




「…ごめんなさい！明日から気持ち入れ替えるんで。ダメ出しでも何でも遠慮なく言ってください！あと、このことは健太くんには言わないで下さい。武者修行が終わったら驚かせたいんで」



無理やり笑顔を作ると両手で頬を叩いた。




この日から健太くんと連絡を取るのを一切止めた。



武者修行が終わったら、健太くんに告げよう。



私達、同志に戻りましょうって。



だって健太くんはーーー私が普通の女の子になることは望んでない。




…ただの雪永Aに興味なんてないんだ。





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